大統領暗殺を企てる男の物語。
多額の報酬を得るため闇社会に生きる凄腕スナイパー。または、次期政権を牛耳ることが目的の実力者…
この映画の主人公はそんな男ではない。
ショーンペン演じるサムは、しがない一介のセールスマン。
嘘が苦手な小心者で要領が悪い。営業職に向いておらず成績は芳しくない。金を稼げないから妻子も出て行ってしまった。
観ている側へも負け犬意識を植え付け、淋しく荒んだ気持ちにさせるショーンペンの演技はさすがの一言。
彼は一見するとただの情けない男であるが、どこにでもいる普通の男。繊細で自尊心が強く、生真面目であり優しい。
そんな男がテロリストとして産み出され、『テロリスト』と誇大表現されてしまう世界。
正直者は馬鹿をみる世界。
理不尽な世の中だと気付いていても、背に腹は変えられないと開き直り生きていかなければ、弱者の烙印を押されてしまう…。