よしまる

M★A★S★H マッシュのよしまるのレビュー・感想・評価

M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)
3.7
 ドナルドサザーランドにエリオットグールド、そしてロバートデュバル。
 70年代ものばかり観ているとそりゃあこの人たちには当たるよね。

 学生の時に観て、悪ガキがそのまんま大人になって戦場に来てしもたみたいな奴らがサイコーに面白かったんだけれど、今回久々にちゃんと観てみたら、映画としてはなかなか退屈なところもあり、一方で大人にならないと分からない面白さも発見できて非常に興味深かった。

 野戦病院に派遣されてきた2人の医師が、規則そっちのけでやりたい放題、さらに日本に行ってゴルフや芸者遊びをするわ、戻ってきたらアメフトの賭け試合をするわと、とにかく節操のない話が続く。

 ところがそんな馬鹿馬鹿しさの中に、遊びも金も、そして人の命を救う医師としての責務も、同じ男の中の矜持として等しく保たれるロマンチシズムがそこにはあった。

 朝鮮戦争を描いていると言いながら明らかにベトナムを茶化しているし、フェミニズムを嘲笑うかのようなヤンチャぶり、たぶん今の世の中に照らしてみると「非難轟々」というより「何が面白いねん」ていう話になろうかというところだけれど。

 人をおちょくるのが楽しいとか、多少迷惑だろうが自分を通してるのがカッコいいとか、そういう今ではNOなことが許された時代が確かにあったし、人を欺いたり出し抜いたり、不条理なことを押し付けたりという軍の中の汚い部分、いや、戦争というもの自体が持つ違和感を、こうした笑いと皮肉で描きだしたことは当のアメリカだからこそ評価されて然るべきなのだろうと思う。

 逆に、そこに込められた当事者としての怒りもジョークも、日本人には分からなくて当然なのかもしれない。ただ、どっちが無茶苦茶なのかと考えればよいことなのだけれど。

 カーテンコール風にキャンプ内での軍の放送で終わるの好きだなぁ。