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愛の昼下がりのooospemのレビュー・感想・評価

愛の昼下がり(1972年製作の映画)
4.4
最近観たロメール映画の中ではストーリー、オチが明快なほうだった。《six contes moraux》シリーズ泣く泣く全作鑑賞。突然姿を表すクロエの存在が、喋り方や行動、服装などあらゆる点からあきらかに「異物」っぽく表現されているのが面白い。すでに幸せな家族を持ちながら、そんな女性にNOと言えない、いや言わないくらいの遊び心は本来多くの男性が持っているとしても不思議じゃない。ロメールが素晴らしいのはそういう背徳的なことや、非常識とされていることにも非難の視線を向けずひっくるめて愛おしそうに描くところ。服屋の店員、同僚、もちろん妻やクロエなど主人公に関わるすべての人が独立した個性と信念を持っているから、それぞれの人生の幸せがあるよね、当たり前だけど、いいね、ということを感じる。ロメールが描くのは当たり前だけど、多分最も根本的なものだと思うの、生きる喜びとか街への愛着とか人の交わりのかけがえのなさとか。
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