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夜の騎士道のJeffreyのレビュー・感想・評価

夜の騎士道(1955年製作の映画)
3.8
「夜の騎士道」

本作はジェラール・フィリップを主演に迎えた巨匠ルネ・クレールが1955年に監督、脚本、台詞を担当した作品で、この度紀伊國屋からBDが発売され初鑑賞したが素晴らしい。やはり高精細4k修復版で鮮明に蘇る映像は格別だ。「悪魔のような女」のジェローム・ジェロニミが脚色に携わりわ撮影はロベル・ル・フェーヴルと「悪魔のような女」のロベール・ジュイヤールで、音楽は「フレンチ・カンカン」のジョルジュ・ヴァン・パリスとスタッフは一流者ばかり。今思えば映像と音楽の素晴らしい調和を生み出し、世界の映画作家に多大な影響を与えたルネ・クレール監督の、その初カラー作品を今まで見てなかっただんなと自分を悔いてる。

ミシェル・モルガンとフィリップの2人の恋愛遊戯の皮肉な顛末を、美しい色彩でエレガントに描き、他の役者に国際的脚光浴びる前のブリジット・バルドー、歌手役のマガリ・ノエル。無名時代のダニー・カレル、また映画監督してもキャリアを積むことになるイブ・ロベールなどが出ている。美術はクレール作品のパリを作り出したラザール・メールソンの弟子レオン・バルザック。助監督には本作の翌56年に監督デビューしたミシェル・ボワロン。クレール監督とジェラール・フィリップの「悪魔の美しさ」「夜ごとの美女」に続くコンビ三作目である。日本ではとりわけキネマ旬報などでかなりベスト3までこの監督の作品は多く入ってきている。

さて、物語は第一次大戦勃発以前、竜騎兵連隊のある田舎町を背景に、若き中尉とパリから来た女性との恋の駆け引きが繰り広げられるオリジナル。今回、映像特典に別バージョンとして撮影された悲劇のラストシーンを収録していたので鑑賞した。この作品は55年のルイ・デュリック賞と56年のフランス映画批評家協会賞ジョルジュ・メリエス賞を受賞している。今思えば第二次大戦が勃発したその後にアメリカへ渡り、ハリウッドで映画を撮って、戦後フランスに戻ってから活動再開して、その功績から1960年あたりに映画人として初めて名誉あるアカデミー・フランセーズ(国立学術院)の会員となっていたことを思い出した。この20世紀の激動映画と共に生きた監督の作品が初めて日本に紹介されたのは、確かトーキー第一作の「巴里の屋根の下」だったと思われる。

最後に余談だが、15歳で雑誌の「エル」のモデルとなった超かわい子ちゃんブリジット・バルドーは1986年に動物愛護施設を設立したり、2011年の東日本大震災に対しては、支援を表明していた。そんで主人公のハンサムなフィリップは36歳の若さで、肝臓癌によって亡くなっている。
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