すばらしい。
映画はすでに斜陽期でキャスティングや中古智の美術もどこかテレビ的だ。
にもかかわらず切なくビターな大人の恋愛を描かせたらピカイチの井手俊郎の天才が輝き、森谷の細やかな演出がそれに応える。弟・高橋長英（エデンの東！）池内淳子のもたらす深い余韻に浸る。
もう一週間に一度、井手俊郎×森谷司郎の青春映画に出会うことを楽しみに胸をときめかせながら生きている。スペクタクルでもないし豪華な出演陣でもない。でも「ああ、これが東宝映画だ」と胸を焦がすなにか。同時に高校生だった私はこれがわかっただろうかと少し羞じる。明日は栗田ひろみ『放課後』。
