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きみがぼくを見つけた日のYYamadaのレビュー・感想・評価

きみがぼくを見つけた日(2009年製作の映画)
3.6
【タイム・パラドックス佳作選】

◆パラドックス発生の方法
〈タイム・スリップ〉
 →遺伝性の「時間旅行症」にて、自分の意思とは関係なく、過去や未来にタイムスリップ

〈見処〉
①「時を超えてめぐる究極の愛」
・『きみがぼくを見つけた日』(原題:The Time Traveler's Wife)は、2003年に出版され、28週連続トップ10入りを果たした、同名ベストセラー小説を映画化したもの。2009年に劇場公開、監督は『フライトプラン』のロベルト・シュヴェンケ。製作総指揮の1人にブラット・ピットが名を連ねている。
・本作の主人公は、自分の意思とは関係なく、時空を超えて過去や未来へ行き来してしまう男ヘンリー(エリック・バナ)。突然起こるタイムトラベルに衣服や所持品は持っていけず、「行き先」には丸裸にて到着。常に危険が伴うが、そんな彼と6歳の時に運命的な出会いを果たし、生涯の恋を描いたクレア(レイチェル・マクアダムス)とのラブストーリーが本作である。

②歴史改変
・本作は「未来に起きるべきことは、すでに起きている」という観点が貫かれており、「歴史改変」や「バタフライエフェクト」「パラレルワールド」が一切発生しない。
・全ては「予定調和」である本作は、ヘンリーとクレアの愛の結末も早くから判り、その経緯を確認していくというストーリーラインとなっている。

③結び…本作の見処は?
○: タイムトラベル作品でありながら、パラドックスが発生しない稀有な作品。予定調和を確認する大恋愛映画とも言える。
○: エリック・バナ扮するヘンリーの宿命を受け入れるレイチェル・マクアダムスが切ない物語。本作の真の主人公はクレアである
▲: タイムワープの頻度が多く、現実世界の順序が判りづらい。ブラピ製作作品であるのだから、ベンジャミンバトン並みまでにはいかなくとも、バナにはもっと特殊メイクで年齢ギャップを表現して欲しいかった。
▲: 妊娠に対するクレアの行動には賛同できない。また、自分の特殊能力への理解者とこれだけコミュニケーションがとれるのだとしたら、ラストシーンをパラドックスにすることも出来ただろう。原作に忠実なあまり、もっと良くなる要素を失した気がする。
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