茜

妖精たちの森の茜のレビュー・感想・評価

妖精たちの森(1971年製作の映画)
3.4
名作ホラー「センチネル」のマイケル・ウィナー監督作。
私的にはゴリゴリのホラージャンルな「センチネル」よりこっちの方が圧倒的に怖いし有る意味ホラー。
純粋であるが故の恐ろしさがじわじわ染み込んできて如何ともし難い後味が残る。

とある郊外の屋敷に暮らす両親を亡くした姉弟と彼らの家庭教師を務める女性、そして下男の物語。
下男を演じるのはマーロン・ブランドで私の中ではゴッド・ファーザーのイメージが強いから若い頃の姿を観るのが新鮮。
粗野で気だるそうな雰囲気だけど不思議な魅力を持つ下男を演じるブランドはやっぱり本作でも一際目を引くオーラを放つ。
そんな下男と家庭教師は肉体関係にあって、夜な夜な半ば強引に下男から迫られ縄で縛られたり大人なプレイをしちゃったりして、何だかんだ彼女もそんなやり取りに溺れて抜け出せない。
そんな下男は幼い姉弟達にとっては良き遊び相手でもあり信頼出来る理解者。
BBA家政婦が下男と家庭教師の仲を裂こうとしている事を知り何とか二人の関係を取り持とうとする。

本作は「回転」という古典ホラーの前日譚なんだけど、私「回転」は子供のキンキン響く叫び声がうるさ過ぎて途中離脱したのでどういう話かイマイチ分かってない…。
でも「回転」を知らなくても本作だけでも十分楽しめるし恐ろしいです。
お屋敷のゴシックな雰囲気、大人の生々しいエロ、そして純粋で孤独な子供達…これだけ揃ってれば素材は十分でしょう。
子供達にとって信頼できる存在の下男、彼の行動や言葉に分かりやすく影響され危うい行動をする幼い姉弟。
全く持って邪悪な裏面を持たない子供の行為だからこそ、より不気味で凶悪に感じてしまうのだよなぁ。
怖い映画なんだけど、どこか神聖で神秘的な側面もあって何とも不思議な魅力がある。
茜