継

動く標的の継のレビュー・感想・評価

動く標的(1966年製作の映画)
4.0
洗面台に氷を浮かせて, 二日酔いの顔を突っ込む.
コーヒーを切らすと, 仕方なくゴミ箱から漁った出がらしで間に合わせて, 恐る恐る一口すすって苦い顔をする.

ー いい歳をした男のやもめ暮らし。
『リスボンに誘われて('12年)』という映画で, やはり冒頭にジェレミー・アイアンズが紅茶のティーパックで同じ事をして哀愁を醸し出してたけれど,
ポップでカラフルなパッケージ・デザイン↑通りというか,
先に観てしまった続編『新・動く標的('75)』の9年も前だけあって, 軽口を叩いたり・おどけてみせたりするニューマンの軽妙な若々しさがハードボイルド的な渋味・哀愁より前面に出ている印象。

妻に出て行かれた私立探偵ハーパー(ニューマン)。
親友の弁護士の紹介で得た人捜し=失踪した大富豪の捜索依頼。

美しい海岸線が広がるロサンゼルスやプール付きの大豪邸の華々しさとは裏腹,
落ちぶれた女優やバーのヤク中シンガー, カルトな新興宗教や犯罪集団にぶつかり, ハーパーの捜索は難航する。
陽光降り注ぐロサンゼルスの, その影に漂う酸(す)えた臭いと乾いた虚無感。
アルトマンの『ロンググッバイ』より7年も前, これは早い。

軽妙と書いたけれど, それだけに妻や親友に接する時に垣間見せる弱さや苦渋の表情が際立って見える。
ラストの緊迫, そこから幕引くタイミングも好き。
続編の印象からハードル下げてたけど, やっぱり観てみないと分からないですネ、観て良かったTSUTAYA発掘良品でした(^^)。
継