ピュンピュン丸

動く標的のピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

動く標的(1966年製作の映画)
5.0
DVDを購入しての再々再々再々鑑賞。

探偵ルー・ハーパーシリーズ映画第1作。

もし生まれ変われるなら、ポール・ニューマンになりたい!と思わせるNo.1映画じゃないかな。ファースト・エディより、ブッチより、ヘンリー・ゴンドーフより、ルークより、いい。

大してスゴい人物じゃないところがまた、イイ。

冒頭のシーンとラストがこんなにイケてる映画って、ほかにあるだろうか?

しかもラストは、大したクライマックスもなく、正直、中途半端なのに、ポール・ニューマンのいかにもポール・ニューマンらしい表情で、最後を締めてしまう。普通の俳優ならとてもじゃないけど締まらないよ。そして、そのとき着ているシャツがまた犯人の一人から借りたものなのに、とても似合ってるんだな。笑笑

まあ、でも冒頭のシーン。

ほんの数分の出だしで、グイッと引き込まれてしまう。なんでだろう?まだ起きたくないけど、起きなきゃという、万人共通の思いがニューマンの演技力で見事に描き出されている。ブラインドをあげる。まぶしい。コーヒーを入れる。豆がない…。やっと戸を開けて廊下に出る。ハエを殺す。と、ここまでがもう芸術だ。何度でも見よう。何回も見よう。もうたまらない。

走らすクルマのコンパクトさ、不安定そうな危なかっしい鋭い走り…。

これまた最高だ。

ハード・ボイルド探偵映画といえば、ハンフリー・ボガードで、その相手役のヒロインを務めてきたローレン・バコールが、金持ちの夫人で、仕事の依頼人というのも最高だ。

それに、離婚係争中のニューマンの奥さん役が、『サイコ』で斬殺されてしまう印象的な役をやった女優というのもイイ。

映画は起承転結でなく、途中経過を楽しむものという、そんな仮説に説得力を与える映画だと思う。

ポール・ニューマン、
お願いだから、生き返ってほしい。