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動く標的のblacknessfallのレビュー・感想・評価

動く標的(1966年製作の映画)
3.1
「暴力脱獄」観てポール・ニューマンが好きになって、中学生ぐらいの時に観たやつ。

当時は、色んなとこ行って話してるだけで退屈だ、アクションもないし、ポール・ニューマンなのに奥さんに愛想つかされてる、こんなの見なきゃよかった😥と思った。

金持ちの男が失踪して妻が探偵ポール・ニューマンに夫の捜索を依頼する。
男には幾つもの顔があり、その不可解な人脈を辿って行った末に明らかになる衝撃の真相!
要はとっても正統派なハードボイルド。

原作小説もその筋では有名なロス・マクドナルド。

まあ、今は一端の大人というか完全なおっさんだからガキの頃のように何も分からず退屈だとは思わなかったけど、逆にこの手の映画や小説にけっこうな数触れてきたもんで、厳しい目で観てしまって分かるんだけどイマイチだよなぁって感じた。

ハードボイルドとミステリーもノワールって隣接して入り交じってて定義は難しいんだけど、これはちょっとノワール的な要素もあるんだよね。
まず、主人公の探偵が完全無欠ではなく脆さを抱えて心情が不安定で冴えないとこが。
オープニングで汚い部屋でストックがないから出涸らしコーヒーを煎れたり、未練タラタラで離婚した妻に電話して思いっきりバカにされたり笑
フィリップ・マーローにこんなシーン出てこないよね、絶対😂ハードボイルドの王道から外れた主人公だよ。

でも、事件の真相をがんばって明らかにする探偵ポール・ニューマンなんだけど、これもハードボイルドと言うにはあまりに線が細い。行き当たりばったりに脈のあるとこに当たり、時に軽口を叩きあって偶然何か掴んだり掴まなかったり、そして腕っぷし強くないからボコボコされたり、、、それでも真相に近づくからすごいと言えなくもないんだけど、、

そして前述したようにプライベートもまったくイケてないとこなんで、なんか居たたまれない気持ちなるんだよ笑

でも、この弱さとマヌケさがポール・ニューマンなんで、そこに独特の敗者の魅力的な輝きがあって決して嫌な感じはしない。むしろ好感すら持ってしまいそうな吸引力がある。
やっぱ顔かな?あの無垢な瞳やチャーミングな笑顔。ダメでも許して味方したくなってしまうような雰囲気は笑

イマイチって感じたと書いておきながらポール・ニューマン褒めてばっかなっちゃったけど、イマイチはイマイチなんだよ。
なんか展開もオチも悪くないんだけど、ミステリーだから仕方ない部分もあるけど、肝心なことをほぼセリフで説明してしまってて、映像であんま提示してくれてないんだよ。
伏線になる映像が淡白すぎたり、まったくなかったりする!だからセリフで言われて「え?そうだったの、、」って拍子抜けするのが残念だった。

フライシャーやヒッチコックが監督したら名作になった気がする。
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