ギズモX

ミーン・ストリートのギズモXのレビュー・感想・評価

ミーン・ストリート(1973年製作の映画)
4.7
名監督スコセッシが大旋風を吹き上げる前夜の物語。

名曲『BE MY BABY』に合わせて映写機から主人公達の日常が映される最高のOPが堪らない、リトルイタリーのチンピラだった頃のスコセッシの日常をセンチメンタルに映し出した、セルフドキュメンタリーなクライム映画。
若い頃のデニーロが出演しており、この頃からすざましい演技をしてくれます。

この映画の面白いところが、
最初の《友人が酒場で借金を取り立てに来たシーン》と、
ラストの《同じ友人が酒場で借金を取り立てに来たシーン》
を繋いでみるだけで、なんとこの映画のストーリーはほとんど成立してしまう所。

じゃあその間はなんなのよ?というと、登場人物が仲間と一緒に喧嘩したり、映画を見たり、話しあったりとスコセッシが実際に体験したであろうな普段の日常を単に撮っただけ!
ロッキーが街をあてもなく彷徨うシーンが淡々と流れている感じに近い。

でもそこで描かれているのは、危ない社会や狂人を通して映し出される"人間の本質"そのものであり、後の作品でも提示されるスコセッシのスピリットが確かにこの映画の中にも宿っていて、
「俺達はこうやって育ってきたんだ!」
「これが俺達の信仰なんだ!」
なメッセージがズシンと伝わってきます。

話の本筋は《罪を許してもらおうと奮闘するチンピラの主人公(ハーヴェイカイテル)が、ヤバイ友達(ロバートデニーロ)に振り回されて、最終的に両方とも命が危険な状態にまで陥ってしまう》というもの。

殺られる前にマンハッタンから逃げ出した放蕩息子達の旅路は、この後『タクシードライバー』に続いていき、ジョーペシも巻き込んで『グッドフェローズ』、更にディカプリオも加わって『ウルフオブウォールストリート』、『アイリッシュマン』にへと繋がっていくこととなる。

その始まりがこの逃避行だ。

【神のお恵みを!】
ギズモX

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