ピュンピュン丸

錆びたナイフのピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

錆びたナイフ(1958年製作の映画)
3.2
石原裕次郎は、『赤い波止場』ほどではないにしろ、とりあえずカッコいい。将来裕次郎の奥さんとなる北原三枝さんも美しい。宍戸錠も出ていて、もう一人の大スター小林旭も裕次郎の弟分として出演している。ということで、日活スターが勢揃いとまではいかなくても揃っているという意味では見て損はない映画だ。

ただし、ストーリーは、裕次郎の兄慎太郎が原作なのになのか、だからなのか陳腐な三文芝居で、元ネタがどこかの洋画で、それを下敷きにして適当に書いたんじゃないかと思えるような内容。

特に気に入らないのは、主役たる裕次郎が演じる男は、足を洗ったとはいえ、一時は裏世界でも恐れられるほどの男だったはずなのに、その男が、つい最近会っただけの人間にペラペラと心情を吐露し、それも、ムショ帰りの人間を世間がなかなか信用してくれないなどということを女々しく恨みがましく、同情をひくような言い方で繰り返し話すところだ。そりゃ、ないだろ。

真犯人をつきとめるときも、手がかりを見つける偶然さが不自然すぎて、もはやコメディだし。

うすっぺらい脚本を、映画ブームの時代の雰囲気と、スターの輝きで誤魔化してできた映画だよ…。