YYamada

スピードのYYamadaのレビュー・感想・評価

スピード(1994年製作の映画)
3.9
【アクション映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 心理描写より外面的な動作を重視
 ▲: 格闘・戦闘を解決の糸口とする

◆作品名:
スピード (1994)
◆アクション映画のジャンル
現代劇 / 爆弾バスからの乗客救出
◆類似作品
・新幹線大爆破
・暴走機関車
・ダイ・ハード

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・LAの高層ビルでエレベーターが爆発、複数の乗客が閉じ込められる。SWAT隊員のジャックは救出に成功も、犯人ハワードを取り逃がしてしまう。数日後、ハワードから、報復として、時速80キロ以下に落とすと爆発する爆弾をバスに仕掛け、多額の身代金を要求すると脅迫電話が入る。
・ジャックは15人の乗客を乗せて走行中のバスに飛び乗るが、勘違いした乗客の発砲により運転手が負傷。代わりにスピード違反で免停中の女性アニーがハンドルを握る。次々と訪れるトラブルでも速度を落とせないバスを止めることができるのか…。

〈見処〉
①バスまっしぐら。ラッシュアワーは
 命がけな、キアヌ&サンドラ出世作!!
・『スピード』は、1994年に製作されたアクション・スリラー。『レッドオクトーバーを追え!』『ダイ・ハード』など多数のヒット作品の撮影を手がけてきたヤン・デ・ボンの初監督作品。
・黒澤明原案の『暴走機関車』から着想を得たとされるそのストーリーは、停止不可の「エレベーター」「路線バス」「地下鉄」に次々と訪れる危機を頭脳的に回避していく展開。一時も休めない密度の濃臨場感は、後のアクション映画に大きな影響を与えることとなった。
・主演は、SWAT隊員を演じたキアヌ・リーヴス(当時29歳)と、バスの運転を務めた乗客アニー役のサンドラ・ブロック(29歳)。本作は2人をハリウッド・スターと押し上げた作品となった。後年に設置されたハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの2人のプレートは、印象的な本作の共演を記念し、隣り合わせとなっている。
・日本でも、大ヒットした本作。主人公ジャックを演ずるキアヌが着用したカシオ製腕時計「G-SHOCK」の着用モデルは「スピードモデル」と呼ばれるようになった。

②低額の製作費
・本作は3億5,040万ドルの興行収入を記録。アカデミー賞では、音響効果編集と音響賞の2部門を受賞するなど批評的、興行的に大成功した作品であるが、その製作費は驚くほど安く、たったの3000万ドルしかなかった。
・監督を打診されたヤン・デ・ボンはあまりにも安いバジェットに難色を示したが、
50歳を超えていた自分が映画監督になれるラストチャンスと判断して引き受ける。
・コストを押さえつつ、よりスリリングな展開とするため、すでに完成していた脚本は、後年に『アベンジャーズ』監督になるジョス・ウェドンに、リライトに着手。
・また、バスが多数の車をクラッシュさせながら進むシーンでは、台風で廃車になった自動車を安く買い取り撮影を実行。
・ヤン・デ・ボン監督自身がカメラを担いだ撮影やカチンコを鳴らすなど、様々な倹約を余儀なくされた本作は、低予算映画で無駄のない撮影を行ったため、未公開シーンが少なく撮影した映像はほぼ全て本編で使用された。

③結び…本作の見処は?
◎: これで低予算!?アクション=危機回避の密度が非常に高く、スリリングな展開がノンストップで続く本作。また、アクションのヤマが多重に畳み掛ける構成は、『ダイ・ハード』に変わりアクション映画のベンチマークとなった重要作品。
◎: 本作のキアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロック2人のそれぞれのパブリックイメージを決定づけたほど、初々しい熱演が垣間見れる。とくにサンドラは「Girl Next Door」なイメージを確立させている。
▲: 犯人役のデニス・ホッパー。『ハンニバル』のアンソニー・ホプキンスのような怪演には至らずも、本作の翌年にツムラのバスクリンの「アヒルちゃん」CMにキャスティングされたのは、本作ヒットの賜物?
YYamada

YYamada