「フランケンシュタイン」と「吸血鬼」の小説誕生のきっかけとなった歴史的な一夜”ディオダティ荘の怪奇談義”を描く猟奇ゴシック・ファンタジー。鬼才ケン・ラッセル監督の「サロメ」(1987)の前年の作品。
1816年スイス。スキャンダル詩人バイロンと主治医ポリドリが滞在する別荘に、詩人シェリーとメアリー夫妻、メアリーの異母妹クレアが遊びに来た。その晩、5人は阿片チンキ(酒)を飲みながら怪奇談義を始め、やがてトラウマ妄想に飲み込まれていく。。。
ケン・ラッセル監督のフィルモグラフィーの中ではとても綺麗にまとまったダークファンタジーだった。本作の主役であるメアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」(1817)を、ポリドリが最初の「吸血鬼」(1819)を、着想に至ったそれぞれの心のトラウマが幻想的な表現で練り込まれていた。
ラッセル監督の狂気はやや控えめだが、近代ホラー始まりの夜として有名な”ディオダティ荘の怪奇談義”の映画化としては、ゴシックな映像もシナリオもかなり満足のいく一本だった。
メアリー・シェリーの伝記映画「メアリーの総て」(2017)も観てみたい。