せみ多論

50回目のファースト・キスのせみ多論のレビュー・感想・評価

50回目のファースト・キス(2004年製作の映画)
3.6
アダム・サンドラーの映画を見る機会はなぜか多い。はっきり言って特別面白いと思うものはないような気がする。どれを見ても無難というか当たり障りがないといか、お約束のプロットのものが多いという印象。良く言えば安定感があるのかもしれない。

本作もそういう一本ではあると思うけれども、個人的に好きなところが二つある。それだけで満足できたのだから、良かったと言わざるをえない。

一つは南国の美しさが映えていたこと。日中の降り注ぐ太陽の輝きと広く美しい海。陽気な現地人の朗らかさ。一方で夜の深い闇と空に輝く星の美しさ。昼と夜の対照的な映像、静と動、単純に目に入ってくる映像それ自体がとても素敵だった。

二つ目はヒロインの病が治らないところが良かった。不思議な愛の力で治らないと思っていた病気が治りました!なんでやられてたら興醒めもいいところ。
彼女の病気は治らないけど、彼女は毎日新しい恋や愛を育むのだけど、それを支える人々の存在があたたかい。
ラストシーン、彼女は1日だけを積み重ねて、ここまで幸せを築いたんだと思うと、胸が熱くなる。記憶が途切れてしまったって彼女らが共にその日々を歩んでいるのなら、不幸なんかではないのだと思える、そういうところがとても好きでした。

アダムサンドラーの役の動機とか性格とか若干良くわからなかったりしましたけど、差し引いても楽しめる映画だと思います。
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