松原慶太

社長洋行記の松原慶太のレビュー・感想・評価

社長洋行記(1962年製作の映画)
3.5
森繁の社長シリーズ第14作目。昭和30年代、ふつうの人がなかなか海外旅行に行けなかった時代に、当時イギリス領だった香港で本格的にロケした作品。「洋行」という表現に、当時の庶民の海外へのあこがれが伺える。

今回の舞台は、サロンパスみたいな製品を売っている製薬会社。森繁社長が、東南アジア方面の売り上げにやる気のない商事会社社長(東野英治郎)と大ゲンカ。その結果、香港の現地で代理店をさがさなければいけなくなり、小林桂樹や加藤大介が奔走する話。

まず、なんと言っても本作の魅力は、香港というロケーション。「異国情緒」と表現するしかないエキゾチックで無国籍な魅力にクラクラする。ペニンシュラホテルなど、いまでも残っている場所が登場しワクワク。

DVDの三木のり一氏(三木のり平の子息)の解説によると、当時の邦画では、クレージーキャッツや日活のアクションまで、香港でロケすることが大ブームになっていたという。

もうひとつ本作の魅力は、ユーミンさんという女優。小林桂樹の後輩リュウ君の妹として登場するわけだけど、これがめちゃめちゃ美人。60年代の香港映画界で活躍した人で、東宝の映画にも、本作をはじめ5本くらい出演している。

ちなみに、Wikiによると「松任谷由実の愛称「ユーミン」は彼女の名に因んでいるという説がある」とか。
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