三隅炎雄

錆びた鎖の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

錆びた鎖(1960年製作の映画)
3.9
港湾荷役会社の家の次男坊赤木圭一郎が、会社乗っ取りを企む手形パクリ屋たちと闘う青春アクションで、主人公の家族まわりが完全に『エデンの東』になっていて面白い。複雑な家族関係と各人の屈折した感情、過酷な港湾労働とそれに纏わる諸問題がアクション映画の形式の中で丁寧に書き込まれており、優れた俳優陣と齋藤武市監督の的確な職人芸によって見応えのある娯楽映画に仕上っている。単に赤木ひとりが活躍するのではなく、会社の現場作業員ではない更にその下の西村晃ら未組織のルンプロと組んで活躍するのも注目点だ。
高野由美・宮城千賀子・白木マリと大人の女性たちが、日活アクションとしては珍しく実在感をもって魅力的に描かれているのも特徴で、港湾労働者の姿とともに考えられた描写だ。
三隅炎雄

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