マークス

エクリプス トワイライト・サーガのマークスのレビュー・感想・評価

1.5
禁断の純愛や究極の純愛を謳う割には、女一人に男二人のおかしな設定。
男は二人とも少女に激しく恋をし、少女は二人の男に恋をする。
但し、本命がエドワードで、穴埋め的かつ親友的な存在がジェイコブ。
と言っても、エドワードからのプロポーズ承諾後にジェイコブとキスするようでは、とてもじゃないけど純愛とは呼べないし、明らかな矛盾も存在しており物語のコンセプトをぶち壊している。

その矛盾とは、戦いの前にベラの結婚承諾を知ったジェイコブが心を乱して死亡する事に恐怖したベラが、ジェイコブにキスを求めてジェイコブを落ち着かせようとしたが、その事で逆にエドワードの心が乱れる事はお構いなしなのか?
ベラはジェイコブが死ぬのは嫌だが、エドワードが死ぬ事は良いのか?
これでは、どちらが最愛の相手なのか全くわからない。
酷い矛盾の設定だ。
恋愛は非情なもので、選ばれるのは一人だけ。
どちらかが心を乱して死亡リスクを受けるなら、当然、最愛の人物の死亡リスクを排除しようと考えるのが普通だ。
エドワードではなくジェイコブを気に掛けた時点で、完全に理論的にも恋愛感情的にも破綻している設定だ。

人間を捨ててヴァンパイアになり、初恋の相手であり初体験の相手でもあるヴァンパイアの彼氏と、永遠に生きて行く設定の割に、ヒロインの貞操観念や恋愛の質がフラフラ軽すぎて、設定と内容が釣り合っていない。
結局は物語の内容をドロドロにして、興行収益を上げようという商業思考ありきの作品だから、矛盾などお構いなしになっている。

そもそも、この物語を男性モノに置き換えれば、男一人に女二人の設定。
その二人の女にモテモテの男が調子に乗って、あっちの女にフラフラ、こっちの女にフラフラしてる状態。
本命はAだと言ってる割に、Bにも固執しており、終いにはAを裏切りBにキスをしてしまう有様。
女性って、そんな尻軽でいい加減な男性を一番嫌うだろ。
でも、女性が主人公の物語なら、そんな尻軽女の話でも純愛になるのかよ。
可笑しすぎるだろ。
トワイライトシリーズって、禁断の純愛でも究極の純愛でもなく、異なるタイプの男性二人に言い寄られて調子に乗って、フラフラ浮ついているだけの三角関係ドラマだし、しかも最後は母親が駄目なら、その娘。
余りにも下種っぽくて、作品コンセプトと作品内容が余りにもかけ離れすぎている。
結局、昨今の映画やドラマにありがちな、完全な商業主義的な作品にしたが故に、物語の設定がドタバタ喜劇レベルになっている。
いい加減、商業主義的なものを排除して、昔のように本物の恋愛ドラマ(名作)を作る監督って居ないのかよ?

お伽噺のような設定だったけど、1990年の『プリティウーマン』は本当に面白い恋愛映画だった。
あと『ラ・ラ・ランド』も恋愛物としては傑作だった。
プリティウーマンとラ・ラ・ランド。
内容も結果も全く違うけど、恋愛作品としてはどちらも素晴らしい作品だった。
安っぽく、品が無いトワイライトシリーズとは、作品の質が比べ物にならないほど素晴らしかった。
マークス

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