プペ

P2のプペのレビュー・感想・評価

P2(2007年製作の映画)
3.2
ビルの地下駐車場に軟禁された女と、片想いを伝える警備員の変質的な男とのせめぎあいが続く。
クリスマスイヴという、″誰も残らず戻りもしない日の夜″という設定が効いており、ストーカー気味のサイコ野郎の変質ぶりも面白い。
″ああした状況になれば誰もがああするだろう″という、アンジェラの抵抗ぶりもそれだけにリアルだ。


確かにどの場面においても突っ込みどころは多く、咀嚼し切れない″異物感″は終始感じる。
その″異物感″こそが、文字通りに理不尽な世界を生き続ける人間の殆ど崩壊しかけている精神を描き出したことの証明だとも思える。

陽の当たらない場所
日々孤独感を感じる職場
人間に対する身勝手な思い込み
はけ口の無いまま蓄積していく自意識…。

そんな日常に潜む狂気を発散させる絶好の「場」として、且つその「象徴」として、地下2階を選んだのだ。
そう、あくまでも「象徴」なのだ。
本当の「P2」は私達を取り巻く理不尽な環境のどこにでもある。
監督からの警告ともいえる社会派映画ではないかと、私は受けとめている。


女性一人の監禁、盗撮、ストーカー、現代社会に生じている″心の闇″を少ないキャストで充分に表現していた。

くどくどと長くなったが、結論として「面白かった」のだ。
充分に見応えのあるサスペンススリラー映画であったと同時に、「やっぱり男なんていらねぇな」と、彼氏いない歴=年齢の私に思わせた時点で、この映画作品の役割は充分に果たせているのだろう。
プペ

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