このレビューはネタバレを含みます
19世紀パリ上流階級の社交界において少し異端な人々、スワン(ユダヤ人であること)、オデット(高級娼婦)シャルリュス男爵(男色)の設定が興味深い。スワンはオデットにすっかり心を奪われ自分自身も見失い、恋に身をやつしてもうそれこそ息も絶え絶えに…この悶々としたスワンの心情が回想を交えながら描かれる。最終的にはオデットに恋をしたのは過ちだった、人生を棒に振ってしまったと気づくのだが、ラストがすごい。げっそりと覇気を失ったスワンと意気揚々と歩くオデット。忘れられない結末。
最初はいったい何が言いたいのだろう?と思ってたけど、スワンの恋の心情の移ろいをたどること、それ自体が大事なのだと気づいた。