カレーをたべるしばいぬ

エクスペンダブルズ2のカレーをたべるしばいぬのレビュー・感想・評価

エクスペンダブルズ2(2012年製作の映画)
3.7
前回同様、いやそれ以上にストーリーを形骸化して、アクションやスター達のスター性に全振りした映画。振り切りまくっててより好みな感じに。

■本シリーズの背景として
1作目を観た時は知らなかったのですが、本作品には、80年代アクション映画の再興&次世代への橋渡し的役割を担わせたいという、スタローン監督の結構深い意図があるみたいです。それを知ってから前作を観返すと、確かにスタローンがラストの魅せ場をステイサムに譲っていたりして、ちょっとウルっと来てしまうような全く異なる見え方をする不思議な映画になってしまいました。
一方で本作はラストをしっかりスタローンが決めていて、ジジイの全力疾走とかも見れて、俺達も若造には負けていられない感が出ていた。それはそれでとても良かった。

■より強化された「出身」感
最早一人一人が固有のキャラクターとして人々の心に染み付いてしまっているレベルのキャスト陣。それぞれがそれぞれを食い合ってしまう程のインパクトがあるのに、個々の力が強すぎて関係ない感じになっている無茶苦茶な映画。猪肉と牛肉は合うかどうかとか考えないよね?それと同じだね。

■形骸化した80年代アクション映画のストーリー
もう完全にオマケです。とにかく演者達がどう活躍するのか。ビークルとマシンガンの果てにどんな小洒落たセリフを吐いてくれるのか。キマった!フゥゥゥ~~!!↑↑がどれだけ出せるのか。その一点に絞られて作られているので、もう本当に文字通りの意味で話がどうでもいい。敵のボスの名前がヴィランな時点でお察し。チャックノリスが出てくる度にイチイチわざとらしくBGMかけるの面白過ぎる。

■この快楽のデジャヴ
本作で得ることのできる快楽に身に覚えがあり、頭をひねったところ、これは『特撮モノの劇場版』および『アニメシリーズの格闘ゲーム』に近しいものがあるということに気づきました。
特撮であれば『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』とか、ゲームであれば『ガンダムVSシリーズ』とかですね。こういった作品においては、"原作では決して会うことのない一線級のキャラクター達が一堂に会して、各々の背景を知ってか知らずか掛け合いをしてくれる"というファン垂涎のサービスがあるわけです。僕はこういうの堪らなく好きなんです。
つまり、非常にドメスティックな娯楽、身内ネタ的な娯楽を『エクスペンダブルズ』シリーズも享受させてくれるということ。

スタローンがステイサムにボクシングを勧められて失笑するとか、ブルースがシュワちゃんに「お前は戻り過ぎだ」と言ってしまうとか。非常にメタ的で涎が出てしまいますね。

■強者同士が故のリスペクト
筋肉モリモリマッチョマンの変態がいっぱいで妙な安心感。てか絶対負けないし。なんかその辺の変な心配がない。まさに竹を割ったような爽快感。
『仄暗い水の底から』の後に観たから湿度差が凄い。カラッカラ。

■総評
3作目は更に評判がいいらしい。4作目も変に捻らずこのまま行ってくれ!てか映画館で観れば良かった!欲を言えばジェットリーのアクションもっと見たい。