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アーティストのmomのレビュー・感想・評価

アーティスト(2011年製作の映画)
4.0
観た気でいたけど、まだ観てなかった!

今の映画は説明し過ぎで、映像の迫力やら色やら爆音やら、とにかく情報量が多い。
しかし本作は、サイレントからトーキーに変わる瞬間に焦点を当て、無声映画の古き良き時代を描いている。
『バビロン』とは正反対の作風で、あたしはこちらの方が断然好み。

極力削ぎ落とした字幕で見せる台詞、演技で見せる声のない台詞、動きと同調した音楽、全てが洗練されている。
これこそ現代でも通用するサイレント映画ではないか。

サイレントの俳優たちが飲み込まれたトーキーの波。
「次からトーキーの撮影に変わりまーす」
と言われてすぐに演技や発声の仕方を切り替えられるわけもなく、トーキーには合わない俳優もいただろう。
『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』でも、順応できない女優が巻き起こすハプニングがあった。

配信、VFX、AI…
現代の私たちも、多くの古いものを捨て、新しいものを取り入れて生きている。
もちろん新しいものが全てだとは言わないが、日々進化するものを止めることは出来ない。

今の時代を生きるペピーと、声のない(会話のない)夫ジョージの対比が良かった。
特にラストの演出が秀逸!

“ハリウッド・サイン”がまだ“ハリウッド不動産”だったり、レトロな衣装の人々やクラシック・カーが行き交う街並みなど、背景の作り込みが凄かった。

アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞と、主要部門でオスカーを取ってるけど、犬にも助演男優賞あげて!
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