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ゾラの生涯のTSのレビュー・感想・評価

ゾラの生涯(1937年製作の映画)
3.3
【世界史上有名な冤罪事件】73点
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監督:ウィリアム・ディターレ
製作国:アメリカ
ジャンル:歴史
収録時間:116分
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第10回(1938)アカデミー賞作品賞受賞。
フランスの文豪エミール・ゾラの出世と、世界史で有名な冤罪事件「ドレフュス事件」を扱った半伝記映画。『マジェスティック』における会話の中で登場して、そろそろ見ないとと思い鑑賞。前半はやや退屈ですが、後半の「ドレフュス事件」はかなり勉強になりました。やはり権力者の都合の良いように歴史が作られているという節も見えました。

ドレフュス事件とは、1894年にフランスで起きた冤罪事件であり、フランス軍の情報をドイツ軍に送っているとしてユダヤ人のアルフレッド・ドレフュスが逮捕された事件であります。普仏戦争を終え、ドイツ帝国が完成。フランスの強大化を警戒したドイツ帝国はなにかとフランスを孤立化させようとしていたので非常に仲が悪い。つまり両国かなり神経質になっていたのです。そんな中、ドイツ軍に有益な情報を記載した文書が見つかり、ドレフュスが怪しいということで即逮捕されてしまいます。

まず彼がユダヤ人であったというのが時代的に運の尽きであったと言えます。というのも、この時代だけではありませんが、歴史的に国や国民のフラストレーションというのは、どうしてもユダヤ人に向けられてしまうのです。人間というのは恐ろしいもので、どうしようもない悲惨な出来事の原因を何かになすりつけてしまう生き物なのです。テストの点数が悪いのは、自分が勉強不足だったというよりかは、周りの環境が悪かったから。というように。そして、ユダヤ人はやはり歴史的に羨望の対象でもあったことから、彼らを陥れようとして、なにかと全ての責任を彼らになすりつけるのです。

今回も、普仏戦争の結果フランス経済が悪化していて国民のフラストレーションが溜まりに溜まっていた。そこで、ろくな検証もせずにユダヤ人である彼をスパイ容疑で逮捕した。というところでしょう。しかし、それが冤罪なのではということが中盤からわかります。ここからが恐ろしい。軍部は自分たちの沽券にかかわることだから隠し通すという姿勢を取るのです。そこには自責の念など皆無。こうやって理不尽にも社会から抹殺された人間は今までどれくらいいるのでしょうか。古代に遡れば遡るほど多かったのではないでしょうか。

それを不当だとして立ち上がるゾラ。やはり法廷争いのシーンは見ものであります。歴史好きはもちろん、法廷争いモノが好きな人にもややオススメ出来ます。かなり古い作品なのである程度の耐性はいるかと思いますが。
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