Maoryu

十字砲火のMaoryuのレビュー・感想・評価

十字砲火(1947年製作の映画)
3.6
戦争が終わり、復員兵が溢れる街でユダヤ人が殺される。一緒にいて行方の分からないミッチ(ジョージ・クーパー)が容疑者になり、警部フィンレイ(ロバート・ヤング)は関係するモンゴメリー(ロバート・ライアン)とキーリー軍曹(ロバート・ミッチャム)から話を聞き、捜査を進める。

ヘイトクライムを扱った捜査劇で、かなり骨太でシブい内容だった。

犯罪劇、推理劇としての面白さはそれほどでもないけど、敵国がいなくなって感情のはけ口を失った兵士たちの人間ドラマとしてかなり面白い。

出演者も重厚で、ロバート・ヤングとロバート・ミッチャムが、微妙な距離感を保ちながら協力していく過程が見応えあった。
ロバート・ミッチャムが信頼厚い軍曹役で頼もしくカッコいいんだけど、一方でロバート・ライアンとグロリア・グレアムは、それぞれ「日本人の勲章」「復讐は俺に任せろ」での憎たらしさそのままだ。

ロバート・ヤング扮する警部の “無知な人間は自分と違うものや理解できないことを恐れやがて憎み始める” という言葉が映画の核心で、今の世の中でもそのまま当てはまってしまうのが悲しい…

彼のアイルランド移民迫害の話や、“憎しみはいつもsenselessだ” という語りに大いに感動させられる。
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