April01

十字砲火のApril01のレビュー・感想・評価

十字砲火(1947年製作の映画)
3.7
✨グロリア・グレアム✨
冒頭の事件を人物を映さずに影を上手く使った手法で描き、その後の捜査の中で、何が起きたのかが犯人捜しをしながら見えてくるという仕掛けになっている。
会話の連続で核心に迫っていく様子は緊迫感があり、室内劇のよう。

面倒なことに巻き込まれたくない犯人の同僚に対して、刑事がアイルランド移民であった自分の祖父の話を淡々と語り、その話がクライマックスに近づき相手を落とす形でオトリ操作に協力させる場面は見ごたえがある。

グロリア・グレアム演じるジニーのパートがミステリアスで、殺人事件においてアリバイになるべき女の不確かさと不安定さが、コーネル・ウールリッチの小説「幻の女」のよう。

メインの登場人物を演じる3人の男優が素晴らしく、ロバート・ヤングの冷静さ、ロバート・ライアンの内に秘めた狂気、そしてロバート・ミッチャムの傍観者でありながら仲介役のような形で飄々と協力する理性的な姿は、それぞれ地味ながら確実な演技力でこの社会派ドラマをしっかり固めている。
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