月うさぎ

ビーンの月うさぎのレビュー・感想・評価

ビーン(1997年製作の映画)
3.0
ひどい。ひどすぎる。と思いながら笑ってしまう映画。
気味悪すぎなのに目が離せない。
ローワン・アトキンソンはただものではない。

【ストーリー】
ロサンゼルスのグリアソン美術館がホイッスラーの代表作『母の肖像』をパリのオルセー美術館から買取った。
除幕式に美術の専門家の派遣を依頼されたロンドンのナショナル・ギャラリーの学芸員達は、無能で厄介者のビーンを追い払うために、美術の専門家に仕立ててロサンゼルスに派遣しようと企む。

最初見たときには絵画があまりにもあんまりな扱いを受けるので大ショックで、お笑いどころの気分ではなくなってしまって。それしか覚えていませんでしたが、覚悟を決めて見直してみて、いろいろなネタが入っているのもわかったし、今回は笑えました。

いたずらや余計なことをしてトラブルを起こし、怪しい素振りで気味悪がらせる迷惑すぎる男。

他意のない失敗や悪ふざけはいいにしても、名画を傷つけるネタだけはどうしても私の趣味に合わない。
それなのに窮地に立ち向かうビーンが突如かっこよく見えちゃうのだ。
頭にパンツをかぶっていても。だ。
人間底辺まで落ちるて期待されなくなると、ちょっとでもいいことするとすごく感動されちゃったりするもんだよね。

スペインのボルハの教会の壁画修復しちゃったおばあさん事件の時はこの映画のことを思い出しましたよ。
やっぱMr.ビーンの「修復」はすごいです。彼には勝てませんね。

彼がふざけない演技している事ってあります?
結構渋い演技もできそうだけど。ヤクザとか

ホイッスラーの「灰色と黒のアレンジメント―母の肖像」はいまでも本物がちゃんとオルセーにあるみたいです。安心しました~♪

イギリスの人気TVシリーズの「MR.ビーン」の映画化第一弾ですが、こういう笑いはショートコントのほうが冴えると思う。
映画では全くセリフがないわけにもいかず、あまり喋らないMr.ビーンにちょっとイライラしてしまう場面もありました。

アメリカのロサンゼルスが舞台の英米共同制作作品とありますが、
イギリス人ってやはりアメリカをバカにしているんではないかと思いますね。
つまり芸術が何たるかを所詮アメリカ人はわからないのさ
「権威のある博士」「高額な絵画」そういうことでしか評価できない。
彼らには本物なんて不要なんだ。宝の持ち腐れなんだから、ポスターでも拝んでおけ
と揶揄した心がどこかにあるように見えてなりません。
ホイッスラーという画家はアメリカ人ですが、印象派画家としてイギリスで活動をしていたという背景もあります。
英国はホイッスラーの名画の「里帰り」を認めない…という気分もあるのかなぁ、なんて。


【おまけ】
除幕式に有名な芸能人でも呼ぼうかという発案にジョン・ボンジョビがいいわ。という女性スタッフの会話が出てきます。

Bernice Schimmel: I genuinely believe that we could get Jon Bon Jovi.

David Langley: Jon Bon Jovi? To unveil, "Whistler's Mother"?

Bernice Schimmel: Yes.

David Langley: I've got nothing against Jon Bon Jovi.
   The man has had two great hairstyles in the last ten years,
  which is an achievement not to be sniffed at.
   But so far as I know, Mr Jovi knows absolutely nothing about 19th-century Impressionism.

グレートな曲ではなくてヘアスタイルですかい?そして彼も絵画芸術には無知と。
そうでしょうとも

あとビートルズのイエスタデイを二人が酔っ払って歌ったりしていますが、
映画の中で流れているのはオリジナルのポールの歌ではありません!ので、ご注意ください。
ビートルズの曲は本物は許可が厳しくてなかなか使わせてもらえないのよ。
月うさぎ

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