櫻イミト

エル・ニドの櫻イミトのレビュー・感想・評価

エル・ニド(1980年製作の映画)
4.0
初老の男と13歳の少女の恋愛物語。年の差恋愛ということで「シベールの日曜日」(30歳と12歳の組み合わせ)が引き合いに出されているようだが、作品の印象もコンセプトもかなり違う。妻に先立たれたアレハンドロは、自宅に見事なオーディオセットを揃え、一人チェスを楽しんだりレコードに合わせて指揮を振ったり、日中は恋人や友達に会いに行ったりと悠々自適に暮らしている。そんな彼が、川で暗号の書かれた紙を拾ったのがきっかけで近所に住む少女と出会う。たちまち仲良くなり少女の無邪気な要求に振り回されるうちに、自ら破滅への道を選択する。アレハンドロは性的にノーマルであり、劇中の二人の交際を見ていると、相手が少年だったらこのような道を選んだとは思えない。親愛の情ではなく明らかに恋愛だった。その形は、アイドルにハマったり、ガールズバーにハマるパターンを連想させる。今の日本では決して珍しい話ではないのではないか。
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