デニロ

進め!ジャガーズ 敵前上陸のデニロのレビュー・感想・評価

3.0
1968年製作公開。脚本中原弓彦 、前田陽一。監督前田陽一。公開日は3月30日。グループサウンズの人気バンド/ザ・ジャガーズの出演作品ということで、春休み中の小、中学生も観に出掛けたのかもしれない。同時上映を調べてみたら『帰って来たヨッパライ』(監督/大島渚)だった。わけの分かんないループ映画。こんな番組を作った松竹は何をかんがえていたんだろう。同じ日に公開された他社の作品を調べてみたら、日活/『残雪』舟木一夫、『青春の風』吉永小百合、東映/『博奕打ち 殴り込み』鶴田浩二、『続決着』梅宮辰夫、東宝は一週前に『さらばモスクワ愚連隊』加山雄三、『めぐりあい』酒井和歌子、というラインナップだった。その前後にも松竹/『ケメ子の唄』、東宝/『ザ・タイガース 世界はボクらを待っている』なんていうグループサウンズの作品も公開されている。

ザ・ジャガーズの「君に会いたい」というヒット曲が何度も流されて中学生は満足しただろうか。前年の秋にリリースされた「虹色の湖」を引っ提げて中村晃子がヒロイン扱いで登場する。男子中学生は喜んだだろうか。わたしは好きだったけど。この後彼女は女優を返上して歌手として活躍、婚約者との/あまい囁き/に浮かれていたら、ライバルが現れて/恋の綱わたり/して落っこちてしまった。本作でもヒロイン風に登場していたけれど、終盤に運命の女/尾崎奈々が登場して三枚目になってしまう。

ザ・ジャガーズのボーカル岡本信が主演なんだけど演技なんてできないのは仕方がないとして、尾崎奈々との悲劇的シーンの尾崎奈々の視線と彼の視線の差に、役者と素人の大きな違いをみました。それにしても岡本信を観ながら誰かに似ていると思いつつ頭の中のページをめくっていると、元関ジャニの錦戸亮のお顔が現れて来た。親子じゃなかろうかと調べてみたら何の関係もなかった。

てんぷくトリオ、三遊亭圓楽(五代目)という当時の人気者が出ていたり、泉アキが「帰ってきて~」と絶唱したり、こんな人たちがテレビに出ていたなと思ったり、その後、大関貴ノ花夫人になる藤田憲子が出ていたり、007のような活劇になったり、内田朝雄がジャン・ポール・ベルモンドの如くに爆死したり、そんな映画で、ここは小林信彦のアイデアなんでしょうけれど、旧日本軍の生き残り南道郎、硫黄島上陸、大戦当時の戦場の映像が挟み込まれて前田陽一印が現れると笑うに笑えなくなる。

ラピュタ阿佐ヶ谷 前田陽一の反マジメ精神喜劇ぱらだいす にて
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