イチロヲ

タイムズ・スクエアのイチロヲのレビュー・感想・評価

タイムズ・スクエア(1980年製作の映画)
5.0
反骨を滾らせているパンク志向の少女が、政治家の親に束縛されている娘と一緒に、ニューヨークの猥雑な街並みを彷徨い歩く。パンク・ロックのメッセージ性をストレートに落とし込んでいる、青春ドラマ。

ボロいラジカセを愛用する主人公少女が、ロックを再生させながら、権威への反逆を体現していく。単なる犯罪行為のため、胸クソ悪くなるが、主人公の言葉遣いがロックの歌詞と同等であることに気づいたパートナーが、軌道修正を図る展開へと進んでいく。

主人公コンビと接触するラジオDJ(ティム・カリー)が、少女の複雑怪奇な心理状態を俯瞰して眺めるような立ち位置になっているところも醍醐味。ガラスの心とパンク精神のグランドクロスを、鑑賞者側に投げかけることに成功している。

ニューウェーブ系の楽曲がフィーチャーされており、ヒッピー色が残っているパンク・ファッションも続々と登場する。ギターの演奏テクを磨くより先に、まず見た目から入るところもニューウェーブならでは。"論ずるより歌うべし"、とにかくコレに尽きる。
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