OASIS

タイムズ・スクエアのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

タイムズ・スクエア(1980年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ニューヨークはタイムズ・スクエアで出会った、父親の元を飛び出した孤独な少女とミュージシャンを目指す少女二人の心の触れ合いを描いた映画。
監督は「エンパイア・レコード」等のアラン・モイル。

議員に立候補し尚更世間体を気にする父親に縛られる生活から抜け出したいパメラと、過去にある傷を抱えながら都会へやって来たパンクな少女ニッキーは、精神病院で運命的な出会いを果たす。
運動音痴でダンスも下手、友達も居ないパメラはニッキーの自由奔放でロックな性格に興味津々。
まぁ病室で大音量で音楽を流したり薔薇を食べたりと、病院に入るべくして入ったと思われるニッキーの奇人変人ぶりが厳しく育てられたパメラには新鮮に映ったのかもしれないけれども。
ボーイッシュで全く少女らしさのカケラも無いニッキーと、お嬢様育ちのパメラもまた出会うべくして出会ったのだった。

救急車を盗み病院から逃走した二人は、二人だけの住処で新たな生活をスタートさせる。
「あなたの全ての行動が詩になる」とパメラはニッキーのやることなすこと全ての虜になり、あれだけ苦手だったダンスにも挑戦し一皮も二皮も剥けて行く。
クラブでのダンスはセクシーさは感じられないものの、自分の中の感情を全て曝け出し表現したいという想いが溢れ出していて、眩いばかりの光が弾け飛んでいた。
音楽を通じてお互いの傷が癒えて行くという「はじまりのうた」や「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」のような展開もありつつ、多種多様な人々を受け入れるだけの器のデカさや大らかさを体現するタイムズスクエアという場所のギラギラとした、だがネオンの暖かさとはまた違った魅力が伝わって来るのだった。

ラジオDJや街の人々も、彼女ら二人の自己表現を後押しする。
タイムズスクエアは大人だけのものか?
いや、そうでは無い。
全ての「はみ出しもの」達が自由を求めて集う場所であると。
街を徘徊するゾンビのフリをするのはもう止めにして、思い通りに振舞ったって構わない。
その想いを実現する為にタイムズスクエアがあり、彼らがいるのだから。

テレビなんて窓から投げ捨てろ!
生(なま)の、そして生(せい)の声を聞き命を感じろ!
ニッキーとパメラ、二人の友情の証、そして二人が共に生きた証は永遠にそこに刻まれる。
停まった時間の中で輝き続ける女の子同士しか持ちえない柔らかな煌めき。
狂おしいほど大好き。
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