クシーくん

夢を生きた男 ザ・ベーブのクシーくんのレビュー・感想・評価

夢を生きた男 ザ・ベーブ(1991年製作の映画)
3.5
講談社刊「火の鳥伝記文庫」は、軽くググったら112巻も出ていると知って驚いた。別に偉人にあやかろうというワケでもないけど、子供の頃このシリーズを沢山読んだ。暇だったんだね。エジソンやニュートンやキュリー夫人の偉業を流し読みしたものである。偉人というのはつまり何か凄い発見をしたり、立派な政治家だったり、あるいは優れた芸術家を指すものだという漠然とした理解がそこに生まれたが、なかで奇妙だったのがこのベーブ・ルースの伝記である。野球選手といえばテレビで見かける、つまり凄い人には違いないが世俗的な人気者であり、偉人じゃないのでは…?と、ここまで考えてなかったろうが、こんなニュアンスの違和感を覚えていたが、読んでみて一番楽しかったのは結局ベーブ・ルースだったんだよな。野球はその後別に好きにもならなかったけど、やんちゃな人気者ベーブ・ルースだけはずっと心のどこかに刻まれていた。

とはいえ本作は大人の映画なので、お子ちゃま向けの伝記には書かれなかった、飲む打つ買うの三道楽なルースの側面もキッチリ描き、アメリカン・ドリームの体現のような人物像を毀誉褒貶取り合わせて語る。内容的には少し調べれば分かるような概略的な映画には違いないし、近年の伝記映画と比べると演出にこだわりが薄いように思うが、生きて動くベーブを映像で見られてそれなりに楽しい。人気が落ちると人々から総スカン食らうのも、良くも悪くもアメリカ感ある。

少々誇張があるとはいえ、実際のエピソードだと言うから驚くが、ベタでも約束のホームランは素直に笑ったし感動した。家庭生活が全く上手くいかない様は正直もうちょっと端折っても良かったかも。1人目の奥さんは本当に気の毒。

しかし何と言っても本作はジョン・グッドマンのハマり具合。この人以上にベーブ・ルースを演じる適任はいないというくらいよく合ってる。葉巻を常に咥えたぷよぷよの姿もグッドマンあってこそ。二人目の奥さんをやっているのがケリー・マクギリス。トップガンから5年経過していて少し相貌が変わったが相変わらず美しい。
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