けーはち

白いドレスの女のけーはちのレビュー・感想・評価

白いドレスの女(1981年製作の映画)
3.4
ファム・ファタールに操られるバカな男の転落メロドラマ……と言えばそれまでだが、舞台・画面・配役・展開の妙で惹きつける大人の官能スリラー。蒸し暑いマイアミ、遊び人の弁護士が声を掛けた白いドレスの人妻は白い風鈴だらけの奇妙な家に住む。男はフラッと誘い込まれ、汗だくの中、身も心もズブズブ。劣情に身を焦がすうち、自ら首を突っ込んだか、はたまた仕向けられたか意識のないまま事態は進む。彼女が稀代の毒婦と気付いた頃にはもう遅く……自信過剰で足元を掬われる弁護士役のウィリアム・ハートに対して、獲物が囚われたとも自覚できない蟻地獄のように巧みな人妻役のキャスリーン・ターナーの対照も効果的。この手のスリラーである「実は最初から仕組まれていた」的な種明かしに首を捻る所はあるが、疑いを挟ませない、若くして堂に入った悪女ぶりに脱帽。ラストシーンもすっかり心身耗弱し疑心暗鬼になった男の妄想か、真実は判然としない解釈の余地を残すエンドで良い。