『白いドレスの女』
原題Body Heat.
製作年1981年。上映時間113分。

激しい暑さにむせぶフロリダを舞台に、謎めいた女と出会った若い弁護士が遺産相続を背景にした恐ろしい罠にまきこまれてゆく姿を描く米国産作品。

製作はフレッド・Ｔ・ガロ、
監督・脚本は『レイダース　失われた聖櫃＜アーク＞』の脚本を手がけたローレンス・カスダン、撮影はリチャード・Ｈ・クライン、音楽はジョン・バリー、編集はカロル・リトルトン、製作デザインはビル・ケニーが各々担当。
出演はウィリアム・ハート、キャスリーン・ターナー、リチャード・クレンナ、テッド・ダンソン、Ｊ・Ａ・プレストン、ミッキー・ロークなどなど。

人妻のマティは、ある夏の日に弁護士のネッドと出会って愛人関係となり、夫殺しの計画を 持ちかける。
そうすることで夫の莫大な遺産が手に入り、二人の愛の障害も消えるからだ。しかし、その計 画は思わぬ方向へと進む。。。

80年代に作られたレベルの高～ぇい悪女映画かな。　
🎼マリ子のへ～やへ🎶電話をか～けてぇ～(映画とは全く関係ないので🙇)
小生の心を魅了してやまない独特の雰囲気が全編にあふれてマス。
映画評論家ダニー・ピアリーは 『カルトムービー・クラシックス』って著書の中で、米国じゃカルト的な人気がある今作品を取りあげて、
『女性解放運動のせいか、なりを潜めていた"ファム・ファタル"が久しぶりにスクリーンに戻ってきた。』なんて書いとった。
因みに、ファム・ファタルてのは、野郎にとっての『運命の女』ちゅうのが元々の意やけど、同時に『野郎を破滅させる魔性の女子』のことを指す場合が多い。
相手が魅惑的であることを示す言葉に英語じゃ『チャーミング 』なんて云い回しがあるけど、ここには魔法や呪いに通じる意味合いがある。
80年代初頭にはフィルムノワールの古典的作家ジェームズ・M・ ケイン原作の『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のリメイク版がなんども製作され(４回くらいかな？)、『白いドレスの女』にもケイン作品の影響が見て取れる。
今作品で愛人に夫殺しを持ちかけるファムファタル、マティ・ ウォーカーは、かつてハリウッドで描かれた悪女よりもっと現代的な味つけになっとって、行動も大胆。
まぁ云うなれば、にんにく&バターが良い香りの白ワインと生クリーム、市販のデミグラスソースをつかった肉じゃがって感じかな？チョイちゃうかな🤔。
前述のピアリーはかつてのファムファタルとマティ・ウォーカーとの違いをこう分析してた。
『40年代のファムファタルは、自分を信じきった野郎を罠に陥れるために意味ありげなセックス・アピールを振りまいていたが、マティはセックス行為そのものを使ってネットを自分のそば に引き寄せようとする』と。
女性解放運動を経てスクリーンに登場したファムファタルは、もったいぶった 行動で野郎の心とティンこレーダーを惑わすのではなく、もっとストレートな誘惑で主人公をズゴズコバコバコ虜にして究極の完全犯罪をもくろむ。 このキャラが公開時には新鮮だったはず。
前半は官能描写がいゃ～んたっぷりで、汗のなかで抱き合う男女(原題は『Body Heat』) が大胆に描写されてるけど、後半は予期せぬ展開となり意外な結末が。。。
マティ役のキャスリーン・ターナーは、この映画で衝撃的なデビューを飾った。
スリムなスタイルとハスキーな声が印象的で、タマリま💯×10=1000。
ジョンバリーのジャジーな音楽とリチャード・H・クラインの雰囲気ある映像、ほんで、これが監督デビューなんやし、驚きま寿司。
ローレンス・カスダン監督のストーリーテリングのうまさも堪能できるミステリーでした。
脇役も爆弾づくりの青年にミッキー・ロークや検事役のテッド・ダンソンなど、のちに売りだした俳優たちの若き 日の姿を見ることができますよ。
もちのろん、ネット役のウィリアム・ハートも好演。

今作品をちょい深読みすると、こんな解釈も成り立つのかもしれない。
弁護士としての仕事に生きがいを感じることもできず、女子とも適当につきあってきたネットは、自分を別世界に誘ってくれる人物を探していて、マティはその役割を果たした。。。
この映画に、現状に満足していない現代人が遭遇した悪夢というテーマも内包されているのだとしたら(ただの悪女映画ではなく)、実は80年代のヤッピー映画の変型版と考えることもできるのかもしれへんなぁ。


ヤッピーてのは東京卍リベンジャーズのヤンキー君たちのことではなく、
"Young Urban Professional"
の頭文字をとった略。
1980年代から使われ始めたそうです。言葉そのものとしては
『都会に住む専門職の若者』　
ちゅう意。
具体的には、主に20代後半から30代後半の名門大学または大学院を卒業した高学歴で高収入の人物を指す。
金融関係などのエリートサラリーマンや医者、弁護士などが当てはまり、最も重要なのは彼らのライフスタイルで、ブランド物の服に身を包み、高級マンションにやはり高級な家具をそろえて暮らし、予約が困難な人気のレストランで食事をすることを好む点などが特徴。

ヤッピーくんたちを扱った映画の傾向は年代によってかなり違うそうで。 1980年代前半には、うだつあがらん野郎(おもに学歴が)が貧乏生活から抜け出すため、ヤッピーを目指すコメディ作品群が多く作られ、そないな作品では、最初からヤッピーであるキャラはとにかく嫌味な野郎として描かれ、最後にはギャフンと痛い目を見る確率が高い。
しかし当時、ヤッピーのような豊かな生活を送ることはアメリカン・ドリームのひとつだったそうで、しがない貧乏キャラが成り上がっていくサクセス・ストーリーは人気だったそう(あくまでも映画や小説で知った知識ですんません)。 また、冷酷な性格だったヤッピーがエキセントリックな女子と恋に落ち、人間性を取り戻すというパターンのラブコメも多く作られたそうな。

BODY HEAT

うーん、

フロリダのムンムンした夏とマッチしていて良いけど、今作については邦題の方が良い味出してましたね。

ビデオレンタルが普及しかかったころ、リバイバル上映で観ました。

ウィリアム・ハート主演のクライムサスペンス。

ファムファタールもの、

（破滅すると分かっていても）共感する〜と思いながら、生涯何本観たことでしょう。

白いドレスのキャスリン・ターナーがとにかく妖艶でした。

脚本は、あのローレンス・カスダン。

監督もつとめています。

美術、衣装、音楽も一級品。

名作でありながら、今作も情報の海に沈みかかっている1本です。


舞台は1980年代のフロリダ。

弁護士のネッド（ウィリアム・ハート）は、白いドレスを着た女性マティ（キャスリン・ターナー）と出会い、彼女に引き寄せられます。

彼女を口説くものの、「夫（※大金持ち）がいるから」とはねつけられてしまいました。

彼女のことが忘れられないたネッド。

後日バーで再会し、強引にマティにアプローチしていきます。

そして2人は、どっぷり不倫を重ねます。

そんななか、「夫さえいなければ」とマティからベッドで囁かれます。

ネッドは、もう気持ちを抑えられません。

マティの夫の殺人計画をたて、実行しようとします…

　うだるような暑さの晩、男はただ黙って外の事件を眺めていた。いや、眺めていたというよりは安全な場所から悲劇的な事故を黙って見ていただけかもしれない。ホテルで起きた火事は瞬く間に燃え広がり大惨事になるものの、彼の目に映る景色はただまばゆいばかりのオレンジ色の光で美しく輝いていた。プレイボーイで弁護士のネッド・ラシーン（ウィリアム・ハート）は付き合っていた女にも飽き、その夏の異常なまでの暑さを何とかやり過ごそうとしていた。ある晩、涼しさを求めて海岸沿いの野外ステージをぶらついていたネッドの前を、白いドレスを着た1人の女が通り過ぎた。栗色の長い髪、スリットから僅かに見えた脚は綺麗で、美しいボディ・ラインのその女に思わず彼は目を奪われた。男はとにかく女に振り向いてほしくて、闇雲に女を誘うが女の態度はつれない。ネッドは弁護士としての活動がようやく軌道に乗り、親友で地元の検事であるピーター（テッド・ダンソン）と刑事オスカー（Ｊ・Ａ・プレストン）と共に行きつけのコーヒー・ショップに入り浸る暮らしを続けていた。そんな独身男の前に突然、美しい女が視界に入り、一気に心を奪い去っていった。彼女の名前はマティ・ウォーカー（キャスリーン・夕ーナー）と言い、20歳も年上の夫エドムンド（リチャード・クレンナ）の嫉妬に心底嫌気が差しているという。

　プレイボーイとして知られるやり手のネッドはこうして美しいマティに徐々にのめり込んで行く。会えば体をむさぼり、いつ果てるとも知れないSEXに興じる男の姿は、この夏のうだるような暑さに頭も体も完全にやられてしまったようだ。不倫の代償はあまりにも大きいことは十分に理解しているが、心底いけ好かない夫エドムンドの束縛から彼女を自由に出来れば、マティをようやく自分だけのものに出来るかもしれない。そう考えたネッドは、ほどなくして彼女とどちらともなく、夫との殺害計画を練り上げるのだ。弁護士としての知見から完全犯罪を目論むネッドにマティも満更でもない表情を浮かべるのだが、安いアイデアには様々な落とし穴が待ち構えていた。ビリー・ワイルダーの『深夜の告白』を下敷きとした今作は、現代に甦ったファム・ファタールとしてのキャスリーン・夕ーナーの悪女な魅力にただただ痺れる。肉感溢れるSEXで理性的なネッドを骨抜きにしたかと思えば、弁護士として海千山千に立ち向かってきたはずの男を二重三重の罠にかける。彼女の退廃的な表情とハスキーな声は男を本気にさせるオーラ十分で、わかっていても彼らは彼女の罠から逃げ出せるはずもない。ネッドは友人としてのピーターの心からの忠告すら耳に入れない。彼が求めた幸福な未来は然しながらマティと一緒にいては手に入れることなどないのだ。冒頭の対岸の火事の暗喩は全てラストのトリックへと帰結し、すっかり骨抜きになった男は最期にあっと驚く真相に気付かされるのだ。

　いかにも西海岸育ちのウィリアム・ハートは、エリートの特権階級で、インテリな雰囲気を漂わせながらもファム・ファタールの肉欲の罠にいとも簡単に落ちて行く主人公を好演した。『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』と『蜘蛛女のキス』と今作とどれにしようか本当に迷ったが、今回は80年代屈指のファム・ファタールなサスペンスを代表作としここに記す。3月13日に71歳で亡くなったウィリアム・ハートにあらためて哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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