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わが母の記のかずシネマのレビュー・感想・評価

わが母の記(2011年製作の映画)
3.7
こちらは三國連太郎の遺作。

東京タワーと同じく、実娘の也哉子さんがまた若き日の希林さんの役を演じている。1シーンだけだからなのかノンクレジット。
冒頭のシーン、浮草みたいやな。

落ち着いた作品。
郷愁的な気持ちを誘う映像は綺麗。
原作小説も実際にあった出来事を基としているので、家族の様子はリアル。
家族の中で1番若い宮崎あおいの青さ。
綺麗事では済まないと分かっている大人故のある種の酷い言動。
このご家族は仲が良いのが良かったんだろうな。
亭主関白と厳しい父親は時代柄デフォとして、結構父に言い返す娘たち。
なんだかんだ末っ娘が可愛いお父ちゃん。
なんだかんだお父ちゃんが大好きな末っ娘。
何歳になっても親は親。子は子。
大人になって、余計に尋ねにくくなる事や言い出しにくくなる事ってある。
思いもよらない人には…他人にだからこそ話せる事もある。

役所広司が、気づけば無意識に父親と同じ動作をして「近づいている」という独白が物凄く良かった。
年齢を重ねる事の漠然とした不安やここまで来たある種の達成感。
ずっと前に、年齢を重ねる事について誰かが書いていて印象的だったのが「集合写真を撮る時には当たり前に最前列にいたのに、いつの間にかそれが2列目、3列目になっている感覚だ」と。

あとやっぱり2人で話しているシーンだなぁ。。大事に持ってたんやな。。

キャストは全員良かった。
まだ少し角のある時期を超え段々と老成していく役所広司、青さが抜けて大人になっていく宮崎あおい。
掴みどころのない希林さん。
これ、希林さんじゃなかったら無理じゃないのかって思うくらいの役。
それと思いがけず、橋本じゅんがええ役やったなぁ。よく似合っとるし。
大久保さんの謎の存在感も好きw
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