真鍋新一

藤田五郎の姐御の真鍋新一のレビュー・感想・評価

藤田五郎の姐御(1969年製作の映画)
3.4
タイトルは「姐御 あねご」のみ。

斎藤武市監督で小林旭がいて、しかもアラカンまでいるので観た。どうせ彼らは助演で、おそらくアキラも顔見せ程度に一瞬出てるだけだろう…と思いきや、けっこう出る。何の説明もなく現れ、旅の途中にふらりとヤバい状況を救いにやってくる。やくざ映画のフォーマットを借りつつも、渡り鳥シリーズとあんまり変わりがない。

扇ひろ子は困り眉の幸薄顔の極妻で、あんまり必然性のない流れで江原真二郎とのラブシーンもある。しかしこの人がただの歌手だと思ったらやくざ映画への適性バリバリですごい。往復ビンタ、ドスの振り方、修羅場になると突然目が据わって、女神のようになる。

内田良平の悪役の振る舞いも含めて典型的すぎる展開でそういう意味ではまったく面白くないのだが、無駄なセリフがなく、いちいちカッコいい構図で繰り出される武市監督の激エモ演出がパチンコの大当たりのように続く。

死んだ夫の服を出されたアキラが、未亡人と恋に落ちるフラグを自ら察してそのフラグを折る場面が特に素晴らしかった。殴り込みへ向かう道中も激アツ。近藤宏の若頭も男気にあふれていて頼もしかった。
真鍋新一

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