ザシアン

シャッター アイランドのザシアンのレビュー・感想・評価

シャッター アイランド(2009年製作の映画)
4.2
「精神的安楽死の是非」または「自分で選択できる尊厳死」かなり切ないテーマです。
日本ではタレントや芸能人が自殺したとき、毎度のように議論しては数日で忘れるを繰り返します。
自殺=悪い意見が多いですが、そもそも自殺が増えると医者が儲かりません。延命させるのもビジネスですし患者がいないとお金になりません。

スウェーデンのように尊厳死を認めてしまうと、日本の医者は稼げません。死なない程度に病気になってもらいたい。だから日本では自殺=悪なんです。

この映画が新しいのは本当にヤバいやつはその対象外というより、もう人間だとも思ってません。


↓以下ネタバレ↓
ラストで主人公が発するセリフ。
「モンスターとして生きるか、善人として死ぬか」

モンスター = 本当の主人公の姿。

 戦争体験のトラウマから逃避するために酒びたりになって妻を寂しい目にあわせ、
 追い詰められた妻が精神を病んで自宅を放火したうえに3人の子供を殺してしまい、
 そんな妻を自らの手で殺してしまった男。

善人 = 主人公がつくり上げた第二の人格テディ。
  
 非人道的な暴力を憎み、高尚な正義感にあふれた善良な刑事。
 
ラストシーンで主人公はまた第二人格に戻ってしまう、
だが実は彼は正気に戻ってた。
故意にテディ妄想がぶりかえしたふりをしていただけだった。
医師たちに自分を諦めさせてロボトミー手術を受けるためだ。

真実の自分、モンスターのような人間のまま生き続けるよりも、
善人テディとして永久に精神を停止してしまうことを選んだのだ。=実質的な精神的な自殺。

罪の意識にさいなまれる苦痛を終わらせるための安楽死。
精神の安楽死です。

最後の一言で相棒は主人公が実は正気を取り戻していることに気づき、
手術に向かう彼を呼び止めようとする。

でも、そのまま見送ってしまう。
ロボトミー手術に反対派の立場を貫く相棒だったけど、
主人公の「善人として死にたい」という気持ちをくんで、
もうそのまま安楽死させてあげることを認めた。

悲しい決断です。
明石家さんまが「生きてるだけで丸儲け」という有名な言葉を放ってますが彼はたぶん双極性障害でしょう。ずっと喋ってるのは立ち止まれないからです。
正しくは「生きてる意味は特には無いが生きてないと儲からないから自分で死を選ぶのはダメよ」なんでしょうね。
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