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シャッター アイランドのpikaのネタバレレビュー・内容・結末

シャッター アイランド(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

めーっちゃ面白かった!変な演出が意図的なのか天然なのかわかりにくくて楽しい。
オープニングの船上シーンやディカプリオの夢シーン、中盤の警備隊長とジープに乗っているシーンなどやけに合成丸出しなのはなんで!?
クラシック映画の劇伴のような音楽がバーンバーンと不気味に不穏に煽りまくる音量がめっちゃデカ!台詞が聞こえないくらいガンガン響いていてちょっと笑っちまう。
最初の晩の院長宅での会話シーン、マックス・フォン・シドーのショットなにこれみたいなのやキングズレーと会話するシーンでディカプリオに切り替わるたびに手に持っているグラスの位置がかなり不自然な形で変わっているところなど、奇妙な演出効果というより『え?なに?へたくそ?』とか失礼な疑問符が頭をよぎるような珍妙演出が繰り広げられてすげー楽しい。
ベッドの上段下段の構図を重ねたのも意味有りげで意味不明だし、それらの違和感が意図的な演出なのか伏線かと考えてみたけど違うようなどうでもいいような、ただただ面白い。
真正面の構図やドリーで追うカメラもキューブリックか『シャイニング』か、あちこちに引用だかオマージュを入れているのだろうか。

オチにビックリどんでん返し映画扱いだと何だか勿体ない。ネタバラシシーンが丁寧なので確かに一見そういう映画に見えそうだけどスコセッシ版『カリガリ博士』ですってところを紐解くと面白そう。
そう言えば公開当時シャマランみたいに衝撃的なオチがどうのって煽られて話題になっていたことを思い出した。
ちょっと目配せも過ぎるしやりすぎなきらいもあるけどスコセッシの表現主義楽しめた。だから怪奇ぽいのかーなるほどー。
ホラーミステリーの様相だけどリアルと幻想は本人の主観であるとか正気と狂気は他者との繋がりによって判別されるとか空想と妄想、逃避などの精神世界と生身の現実の不和を切り出す視点が面白い。ナチスや戦争部分はトラウマや暴力の象徴へ繋げるための要素だったり原作ではもっと掘り下げているのかな。ディカプリオはドイツ語ペラペラらしい。あれはマジモンなのか凄いなー。3作連続で見て全部英語以外の言語話していて凄い。頑張ってるなー。

ディカプリオの私的ベストアクト更新かもしれん。正気を取り戻しそうなネタバレシーンの混乱と苦痛の演技が素晴らしい。演出的にはしつこく鈍重かもしれないがディカプリオの演技が魅了している。俯瞰からの湖ショットのベタさをはねのける素晴らしい演技も。相手がミシェル・ウィリアムズなのも一役買っている。胡散臭くも人が良さそうにも見えるマーク・ラファロとか善にも悪にも中庸にも見えるキングズレーとかシドーはさすがとしか言いようがないし。配役も良い。
スコセッシとディカプリオって互いに足りないものを補い合い高めあっているのかなナイスコンビ。
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