なお

007/私を愛したスパイのなおのレビュー・感想・評価

007/私を愛したスパイ(1977年製作の映画)
3.8
"ドン・ペリニョン好きに悪者はいない"

DCEUマラソンに一段落がついたので、007シリーズへと舞い戻る。
前作『黄金銃を持つ男』の鑑賞から半年以上も間が空いてしまったが、007作品は作品ごとの繋がりがそれほど強くないので安心設計。

007シリーズの記念すべき第10弾となる本作は、007シリーズ15周年の記念作品でもある。
前作『黄金銃を持つ男』から徐々にコミカル路線へと舵を切ったシリーズだが、本作ではその色がより濃くなっている。

✏️エジプトで宝を掘らぬ者は愚かだ
前述の通りコメディ色が強くなりつつある007シリーズ。
ショーン・コネリー時代の「シリアス路線の本格スパイ映画」として見るのは若干お門違いで、本筋のコメディ描写とレトロ作品ならではの違和感や不条理さにツッコミを入れながら見るのが正しい鑑賞スタイル。

物語終盤では核ミサイルの弾頭から核物質だけが入った部品を抜き取り、それを時限爆弾代わりに使用。
籠城している敵の壁をぶち破るというギャグ漫画ばりの超展開を見せる。
(ちなみにこの時、核弾頭の取り外しに使ったのはドライバー1本と超お手軽)

007の第1作『ドクター・ノオ』でも、放射線に汚染された体を単なるシャワーとブラシだけでこすり落とそうとする描写があったが、やはり日本とアメリカでは「核」への認識に差異があったのだろうか。

他にも、何のために作られたのか分からない巨大なマグネット装置、何度倒されても蘇る全銀歯の大男、戦闘のプロ同士とは思えぬわちゃわちゃしまくりの白兵戦など、見どころ・ツッコミどころ満載。

Qがボンドに支給するガジェット、メカニック関連は本作も充実。
メッセージを受信してそれを印字できる腕時計や、ロータス・エスプリをベースにした潜水機能付きボンドカーも登場。
スパイ要素も忘れていない。

☑️まとめ
このコメディ路線へのシフトが功を奏し、本作は過去9作を超えるヒット作となった。
前作公開後は大人の事情によるトラブルがあったり、ロジャー・ムーアの降板もささやかれていたが、見事そのネガティブ要素を払拭。
ジェームズ・ボンド=ロジャー・ムーアというイメージを確固たるものにしていく。

余談だが、本作が公開された1977年のアメリカ映画界は『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』に、スピルバーグ監督の代表作である『未知との遭遇』、ジョン・トラボルタの出世作として知られる『サタデー・ナイト・フィーバー』と伝説級の映画が勢揃い。
ヒット作となった本作も相手が悪かったか、興行収入ランキングでは第4位に留まった。

🎬2022年鑑賞数:92(37)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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