しゃばけ

007/私を愛したスパイのしゃばけのレビュー・感想・評価

007/私を愛したスパイ(1977年製作の映画)
5.0
【オールタイムベスト】
007ファンとして、ボンド映画のベストを問われると、
・ショーン・コネリーのロシアより愛をこめて、ゴールドフィンガー
・ティモシー・ダルトンのリビングデイライツ
・ダニエル・クレイグのカジノロワイヤル、スカイフォール
あたりでウンウン悩むことになるだろう。

でも映画生涯ベスト10を選ぶとなると、突然この「私を愛したスパイ」が浮上する。初めて劇場で観た007であり、映画少年の心にボンド映画の面白さを刻みつけた記念の一作だから。

時代の趨勢やボンドの演者、果てはスタジオの金回りも含め変遷していく007だけど、
①アクション映画としての先進性や柔軟性
②ボンドカーを始め時代の先を行くギミック・小道具
③時代を反映したストーリー展開
④魅力的な悪役
⑤ボンドガール
⑥ハードボイルドとブリティッシュユーモアの絶妙なバランス
⑦世界を股にかけたロケ
あたりは、リアルの度合いを変えたり、小物出現頻度を変えたり、立場を変えたり、バランスを変えたり、多々の変化はあるが大切にされる要素かと思う。

人気シリーズとして007が大作化していく過程において、これらの要素が絶妙のバランスで配置されて、老若男女の隔てなく楽しめる一品に仕上がっているのが、この私を愛したスパイじゃないかと思う。

アクション映画として壮大で、スパイ映画の活躍の場としてまだ米ソの枠組みが顕在で、悪役のストロンバーグは地味ながら(でも、名優クルト・ユルゲンス!)ジョーズという稀有のキャラクターが生まれた作品。

何よりかのロータスエスプリに心震わせられない少年とかあり得ない!(アストン・マーチンを忘れはしないけど)
ボンドガールもソビエト最高の諜報員の設定から、これまでとは一線を画した活躍。(ダニエラ・ビアンキ、キャロル・ブーケ、エヴァ・グリーンに勝りはしないけど)

という訳でベストなボンド映画じゃないけれど、生涯ベストに入るボンド映画です。
愛しい、愛しい一品!
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