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暗黒街の弾痕のhorahukiのレビュー・感想・評価

暗黒街の弾痕(1937年製作の映画)
4.0
記録です。

フリッツラング監督作。ドイツ時代の警察リスペクトな雰囲気(『M』はかなり抵抗しているように見える)は基本的にハルボウのためなのだろうけれど、アメリカ時代は徹底的に茶化してる。刑務所内でのドイツ表現主義を思わせるムードはあの場がラングにとってのドイツだからなのでしょうね。他作(『マンハント』等)でもドイツに追われるシーンではそう言った表現が見られるし、『真人間』でもドイツを思わせる際に使用していた。所長とのやり取りはどこかゲッベルスとのカイザーホーフでの会談(むしろその後の対面での直談判)を薄らと思い浮かばせるし、銀行強盗が頻繁にファクターとして現れるのも同様にその時のラングの詰められつつの銀行に関する思惑を薄らと妄想によるカウンター的に反映してそうに思える。だからこそアレに乗ってた人は妄想起因のペルソナ的存在としての意図があったのだろうと思うし、そうであるためにあの顛末となる。そして犯罪者の子というレッテルは、ユダヤ人の子がどうなったか…に起因するためにあのようにならざるを得ない。過去3件の強盗の詳細は描かれないけれど、エディを善人とする意図はホテルでの自白から明らかで、そうであるならば、同様の語られない事情が背景にあったのだろうことは推察される。

『激怒』『真人間』等々で要素の多くを共通させており、特に毎度のことながらカップルの応援したくなる微笑ましさがとにかく好き。ヒロインを中心に据えた室内の人物の慌ただしいアレコレをあそこまで楽しげに描けるのはシルヴィアさんの演技によるところが大きいし、カメラの動きでキャラクターを茶化していくことで笑いをとっていくのもラングらしいユーモアって感じで好き。そしてここでのライフルスコープは『マンハント』に受け継がれる。




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