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ピカソ-天才の秘密/ミステリアス・ピカソのvodkaのレビュー・感想・評価

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戯言。誰もが偉大であると知りながらいまいち何故偉大なのかわからないピカソ。ルネサンス以降の絵画史が闇(肉)の殲滅ないし発見の歴史であるとして、例えばゴッホの絵画はまだ「昼が夜になってしまう恐怖」であり、おそらくピカソが「夜の恐怖」を知りつつ「夜の楽しさ」を描きはじめた殆ど最初で最後の画家だった。彼が飛び抜けて絵が上手かったことは別にして、アナクロニックでありながら偉大である理由の一つはそこじゃないかと思う。「夜は楽しい(かもしれない)」と言うためにピカソは描きまくる、たぶん。描かなければ夜(肉)はまた恐怖に戻ってしまうから。それ故の色気狂い。そしてベーコンあたりが夜への愛情を丁寧に描き直すようにして…

戯言追記。「芸術の死」と言うとき、それが差し当たりピカソの死を以って語られるのは、彼が「夜の恐怖」を思い出させる最後の象徴的な画家であり、今や私たちは当然のように「夜の楽しさ」を知っているからだろう。夜はかつての夜から遠く引き剥がされ、彼以降の夜はおそらくいずれも光の裏側としてしか存在していない。そして夜を愛するのはブルジョワ退廃的なものでしかなくなり…
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