angie2023

くじらとりのangie2023のレビュー・感想・評価

くじらとり(2001年製作の映画)
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子ども向けと思いきや、かなりグロテスクな傑作だった。さまざまな歴史と議論がある捕鯨という行為を、パステルカラーの子どもの想像力で覆う事の気味の悪さ。
子どもたちはクジラを食べることはせずに、対話をして海へと返す。しかし、主人公らしき男の子は「僕だったら、もっと小さなクジラを連れてくるのに」=(小さなクジラなら幼稚園のプールに入れておけるから)というふうに言い、生き物を獲得することへの執着心を見せて、短い作品は終わる。女どもに花を持って歓迎された船員よりも、この主人公の執着心がもっと危険だ。
子ども向けのふわふわとしたパステルカラーの裏側に、人間中心主義的な価値観と、個人主義(競争を望み、強いものを獲得するという意志)が明確に示される。グロテスクな子どもの想像力は、いつかの青写真となるのだろう。
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