社会のダストダス

アメリカン・ヒストリーXの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
4.9
「衝撃のラスト」って文句はよく使われるけど、この映画の場合実際にそうだしネタバレ抜きじゃ他に説明しようがない。
生々しい人種差別を描いた作品は最近でもよく作られるし、賞レースを狙った時期に公開されることが多いので話題にもなる。大抵は理不尽や抑圧を乗り越え自由のために戦う黒人が主人公で、その過程で白人との友情ストーリーが描かれたりする。

この映画の主人公デレクは現在は穏やかだが、かつては徹底した白人至上主義者で、しかも冒頭から自宅に入った黒人の泥棒を(処刑のように)殺害するシーンから始まる。憎しみに支配されたデレクの過去がモノクロで表現され、黒人たちとバスケをしてるシーンなどが特に印象深かった。

映画には憎悪と偏見は克服できるというメッセージが込められている一方、「衝撃のラスト」の後のデレクの辿る道は、観た者の想像と希望に委ねられている。