takanoひねもすのたり

月の砂漠のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

月の砂漠(2001年製作の映画)
3.3
青山真治特集上映にて

ITベンチャーの寵児と持て囃される男・永井恭二(三上博史)だったが、妻アキラ(とよた真帆)は一人娘を連れて行方不明、エンジニアから経営者に軸を据えたことで大学時代からともに仕事をしてきた友人ふたりから別離を言い渡されたり、人生のツケとガタが訪れていた。
拾った男・キイチ(柏原収史)に妻と子の捜索を依頼するのだが。

家族・夫婦・親子の再生がテーマ。
勝ち組だった恭二が、インターネットの進化のスピードに追われて会社の立て直しに直面している側面もあるが、そこは二次的。

めまぐるしく変化する都会の生活、追われる仕事、深酒、情事

精力的な夫の妻というステイタスを捨てて故郷へ戻ることを選択したアキラ、10年1日のごとき変わらない風景の田舎の家、そこは癒やしのための場所なのか、逃亡者の隠れ家か

難しく……はない、んだけど、核心が掴めた気がしない感触の作品だった
再生がテーマだし作中でのメッセージ性も伝わってくる気がしていたけれど、何だろう……アキラの生活への足元の覚束なさを振り返ると、素直にうなずけないところがある
だからこそ田舎へ帰るまで葛藤していたのだろうと思うけども

多くを語らず、ありきたりな言葉や演出を使わず、画面や台詞の端々に意図的な何かがあり、意味深でなかなか本音を語らない登場人物によって上辺は体温の低いドラマが展開しているけれど、水面下では私が把握できていない感情のドラマがあるようで無いようで

取り敢えず観てはよかったです
機会に突っ込んでいかないと観るタイミングを逃しまくるタイプの作品だったので

あと三上博史さんはミディアムボブくらいの長さの髪型が好きです
今作はちょっと短すぎるかなと思う