仲が良かったはずの姉妹の間で起こった発砲事件の真相を描くサスペンス。レオニード・モギー監督が「格子なき牢獄」に次いで撮った作品で、同作のコリンヌ・リュシェールとアニー・デュコが再共演。前半で何となく話が読めたんだけど、このプロットはちょっと辻村深月の「朝が来る」を思わせる。でもラストのモヤモヤ感はだいぶ印象が違ったね。邦題は姉妹それぞれが抱える止むに止まれぬ事情を表現しててセンスを感じるのに対し、原題の“Conflit”の意味は「対立」で内容そのままだった。コリンヌ・リュシェールは「格子なき牢獄」が日本で大ヒットして人気が出たそうで、たしかに日本人受けしそうな顔立ちをしてる。

妹のクレールを姉のカトリーヌが銃で撃って怪我させる事件が起こり、これは痴情のもつれが原因ではないかと世間を騒がせる中、入院中の妹を見舞った姉が二人とも涙を流して固く抱き合う姿に、どうやら姉妹の両方に不都合な人に言えない深い事情があるらしいことが分かる。ここから追い詰められたクレールの回想によって真実が語られていく展開で、若きクレールをたぶらかすジェラールの下劣な言動と、カトリーヌが抱える悩みが相乗効果を生むところで何となく先の展開が読めてしまう。

万事解決したかに見えたところで、まさかのジェラールの再登場にイライラさせられる。これが原因となってクレールの母性が目覚めていくのが皮肉で、カトリーヌの元々の提案にはたしかに彼女のエゴが潜んでたかもしれないけど、姉妹ともに当時は他に選択肢がなかったというのが何ともやり切れない。ラストでクレールが見せる諦念の表情に、女性だけが負わされる人生の負荷の重さを感じてモヤモヤした。まあ、男を見る目がなくて軽はずみな行動を取った彼女が悪いと言われれば身も蓋もないけど。あと、事実を知ったカトリーヌの夫はこの後どうするんだろう？

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姉妹揃って笑顔の疾走は確かに多幸感あるけど、ちょっと長くない？（『お茶にごす。』の漫画ならではの処理、上手かったなあ）
女優二人の顔が好みでなく…。