【2000年キネマ旬報日本映画ベストテン 第4位】
山田洋次の学校シリーズ最終作。シリーズ全てがキネ旬ベストテン入りしているが本作が最上位。また学校シリーズながら学校がメインの舞台ではなく、ロードムービーという異色作。
不登校の大介はヒッチハイクで屋久杉を見に行こうとするという話。
山田洋次の器用で端正な演出が光る秀作で、女性ドライバーの大庭すみれとのシーンでは号泣してしまった。麻実れいさん、素晴らしい。元宝塚トップスターだけあって存在感がある。
ただ後半の屋久島のおじいさんとのくだりから失速してしまった感がある。不登校の子というよりただのいい子になってしまってリアリティがない。
出会う人みんないい人というわけでもなく、最初に乗る笹野高史は普通思うであろうことを口にする嫌なキャラクターとして設定したのは流石山田洋次。甘々の話にしないバランス。
下手するとお涙頂戴なだけのエピソードになるところを中盤までは回避して、必然性を持たせている。女性ドライバーは息子の存在があって親切にしてるのが分かるし、屋久杉まで一緒になる女性も深入りしすぎないのがいい。
ただやはりおじいさんのところは深入りしすぎだし、そこまでする意味が分からない。
でもラストはやっぱり感動したかな。「はい」と言うまでのあの間!あの沈黙とクラスの雰囲気はとてもリアルでよかった。
んだけど、ゆずの主題歌が…絶望的に合ってない…あの歌流れた瞬間に涙が引っ込んだ。台なしだよ!
前3作の方が圧倒的に好きだけど、まあ流石山田洋次という作品ではあったかな。正直麻実れいのエピソードだけで満点。