あっくん

家の鍵のあっくんのレビュー・感想・評価

家の鍵(2004年製作の映画)
4.8
中古DVD良作発掘作品✨

…実は言うと、本作のDVDはかなり前から持っていましたが、度々レビューに悩んで迷っては中断してしまいながらもどこか頭の片隅にあったりと、かなりの期間中に温めてあった作品です。
遂にレビューが完成したのですが、少々緊張しています💦(・・;)

🩼あらすじ
家庭持ちのジャンニはある事情により、障がいを持つ15歳の息子パオロと初めて対面し、彼をミュンヘンからベルリンのリハビリ施設に送ることになった。
初めて会うパオロの姿にただ戸惑うばかりのジャンニだったが、重い障がいを持つ女性の母親ニコールとの出会いが、少しずつ息子と心を通わせながらも向き合っていく…。

🩼感想
重たいテーマだけど、奥深い作品…。
そして様々な事を考えさせられるけど、もしかしたら一部の方は受け止められないかもと思った作品です…。
純粋ではなく、違った意味で感動させられると思います…。

本作は私自身がまだ障がい者施設に働いたばかりの頃に観た作品ですが、台詞の一言一言が本当に重い余韻を残します💦(-_-;)

長年離れていた親子と二人を心配しながらも助言とサポートする経験者。
長年離れていた親子との絆の美しさを感じさせるのと重くのしかかるリアルな現実という表と裏…。
重たいテーマだと感じさせるのは、BGMがほぼ寂しそうな悲しそうな雰囲気だったのが物語っています…。

印象に残るシーンは2箇所。

1つめは経験者ニコールが語った
「何で●●●●●●●●…?」
…誰もが心に残していく衝撃な台詞❢Σ(゚Д゚)
(ニコールのキャラクター描写で詳細を書きます。)

2つ目はラストシーン…
初めて観た時は中途半端なラストだと感じましたが、今観たら完璧なラストだと感じ、涙が溢れてしまいました…。

ニコールから色々と学んだ後のジャンニが初めて見せた“姿”を観て…
今まで悲しみから逃げ続けた影響で息子と向き合わなかった後悔の“過去”…
そして残りの人生ずっと息子と例え苦悩とか何があっても向き合っていくという決意への“未来”…。
それは“この二人がやっと、スタート地点にたどり着いたんだろうな…。”…っと私自身が思ってしまったから…。
観終わった後はそう思えてなりません…。

本作は久しぶりに観賞しましたが、伝わりづらい部分もあるけど、改めて素晴らしい作品だと実感します✨
そして福祉目指す方は必見な作品かと思います🎶

※本作の原作はジュゼッペ・ポンティッジャの半自伝的小説“明日、生まれ変わる”。(作中にニコールが読んでいた本でもある。)
最初に映し出された「二人のアンドレアに捧ぐ」と出ていましたが、その二人とは本の主役アンドレアと映画のパウロを演じたアンドレアの事を示す。

※また、今までのレビューもそうですが、施設職員経験の影響か、障害者ではなく必ず“障がい者”と表記する事を心掛けています。

🩼キャラ描写
本作の注目点はキャラクター一人一人が素晴らしすぎる演技をしている事は確か✨✨
ほぼこの三人が中心ですが、圧倒的な演技力は必見です✨

・ジャンニ
悲しい過去を抱えながらも15年という歳月を経て、息子と初めて向き合おうとする真面目なイケメンパパ。
パオロと関わる度に今まで向き合わなかった恥と罪悪感が現れ、どこか繊細と不安な雰囲気が漂っているが、ニコールのサポートを受けながらも少しずつ学んでいく…。

ニコールからの衝撃の一言を聞いた時の“姿”…。
ラストでジャンニが初めて見せた“姿”…。
最初の頃の雰囲気とは違ったその“姿”が今まで学んできた事、そして向き合わないといけない現実という未来へと導かれる答えなのかもしれない…。

※日本語吹き替えが平田広明さん(ワンピースのサンジ、パイレーツ・オブ・カリビアンのジャック・スパロウ、ボーンシリーズのジェイソン・ボーン等)なのも個人的な高ポイント✨

・パオロ
やんちゃで好奇心旺盛、時折暴走するけど明るくも心優しき青年。
パオロを演じたアンドレア・ロッシは実際に筋ジストロフィー症(遺伝子の変異によって体の筋肉が徐々に壊れ、筋力が衰えていく病気)を患う青年で、とても自然体な演技を見せてくれます🎶(*^^*)
父親と一緒に楽しくしている中でお試し行動の様な我儘さと甘えを発揮したりと、15年間という空間の歳月で初めて会った父親との何気ない距離感が絶妙✨

※自然の演技をする為に撮影前の6ヶ月前から一緒に関わってきたとの事。

※映画祭での画像で、アンドレア・ロッシと他二役のキム・ロッシ・スチュアート、シャーロット・ランプリングが笑顔で楽しそうにしている姿がなんか微笑ましい✨(*´艸`*)(検索で英語表記のandrea rossi movieと画像検索で見れます🎶)

・ニコール
只者じゃない感と存在感がダダ漏れ💦(・・;)
穏やかな雰囲気で少しお節介ながらも二人をサポートするおばさんだけど、ジャンニの事をどこか見透かされて悟っている様な表情は経験豊富な洞察力を感じます…。(゚A゚;)ゴクリ
静かで穏やかな口調でも、その言動の一言一言が現実を重く突きつける…。

そして衝撃の一言が私自身にとって、レビューが直ぐに出来なかった一番の理由でもあります💦
(このセリフは福祉職員として時期が浅い私にとってかなり衝撃に受け止めてしまいました💦)
障がい者を抱える親の気持ちはその親にしか分からない…。
20年間障がいのある娘と向き合ってきた母親の心の闇と裏を返せば、長年共に周りとは違った愛情で娘と過ごしてきた奥深くも偽りのない愛なのかもしれない…。
それが理解する事の出来ない残酷な言葉でも本意ではなく、もしかしたら長年向き合ってきた気持ちを誰かに伝えたかったのかもしれない…。

ジャンニ・パオロ親子とニコール…お互い苦悩を抱えた同士の運命の出会いだったのかもしれない…。

本作で初めて拝見したシャーロット・ランプリングの演技に自分の中では物凄く爪痕を残し、後にアカデミー賞主演女優賞ノミネート作品でもある“さざなみ”の演技にも通じる物を感じます✨(๑•̀ㅂ•́)و

🩼キャスト
監督はジャンニ・アメリオ(最初の人間、ナポリの隣人、蟻の王(11月10日公開))

ジャンニ役のキム・ロッシ・スチュアート(薔薇の名前、ピノッキオ、離ればなれになっても、野良犬たちの掟)

パオロ役のアンドレア・ロッシ

ニコール役のシャーロット・ランプリング(さざなみ、DUNE 砂の惑星シリーズ、スイミング・プール、レッド・スパロー、愛の嵐、まぼろし)

最初のみですが、パウロの育ての親アルバート役のプエルフランチェスコ・ファヴィーノ(離ればなれになっても、ラッシュ プライドと友情、ワールドウォーZ、天使と悪魔、ナルニア国物語第二章、セントアンナの奇跡)
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