タミキーリ

レストレポ前哨基地 PART.1のタミキーリのレビュー・感想・評価

3.9
これを知ったのは「アウトポスト」の感想を検索していた中で、おすすめしていた人がいたから。PART2はアマプラなどで配信があるけど、PART1はレンタルのみ。アウトポストは実話を元にした映画ですが、これはドキュメンタリー。本当にいきなり攻撃されている。

アフガニスタンのコレンガル渓谷に派遣された兵士たちに1年密着して撮影されている。アウトポストも基地の名前が亡くなった兵士の名前になっていたが、このレストレポもの由来も、あの地に着任してすぐに亡くなった兵士の名前がつけられている。

彼らが派遣先で行っていたことは、アウトポストで描かれていたことと同じく、タリバンを防ぎつつ、土地の長老たちと話し合いをして、道路建設などの作業員を募り、彼らに仕事と報酬を与えるということ。毎日4〜5回攻撃を受け、実に頻繁に会合を開いている。

当時の現地映像と平行して、帰還した兵士たちのインタビューが流れる。印象的なのは、話している内容が「睡眠薬を5種類試したが悪夢で眠れない」ということを話しているのに笑顔だということ。笑うしかないのかもしれない。

こういった戦争もので、当人たちが互いのことを「家族」という意味、実際の近況を手紙などで知らせる本当の家族よりも、長い時間を過ごすこともあり、その感情面でのつながりは外野からはわかり得ないものがある。戦死した仲間を常に偲びつつも、前進しなければならない。

中盤で、仲間内から「最強の男」と言われる軍曹が、厳しい作戦を遂行している間に攻撃されて即死してしまうが、この時の周囲の動揺っぷりに衝撃を受ける。一人は声を出して泣きじゃくっているのだ。亡くなった仲間の動かなくなった足を見つめて固まる者もいた。

アウトポストでも航空支援が後半に描かれていたが、このドキュメンタリーも、ヘリでの攻撃と地上での迎撃で展開されている。空からの攻撃は、狙いを定めにくいため、無関係な村人が死んでしまうが、それに対しての本音と思える悔恨。
アウトポストでは、攻撃とは関係ない原因で亡くなった子どもの死因が米兵に撃たれたからだと金を要求しにくる場面があったが、こちらは牛。基地の有刺鉄線に絡まった牛を殺したことで、賠償を求めに来る。やむを得ずだったと説明し、牛の重さと同じ食料で交渉するが、
彼らは現金のみを求めてくる。これは、背景にタリバンが金で彼らの協力を得ているからでもあるんだろう。怪しい動きをしていた若者の腕に、高そうな時計がしてあったりするのもそういうことなのだろう。それが悪いというよりも、あの地で生きていくためにはそうするしか。
アウトポストでは出来上がった基地に配属されていたが、これは元ある基地に少し離れた山の上に基地を自分たちで作っている。基地を作る山よりも高い山も当然あり、そこから終始狙われる。夜中に作業をするも攻撃→作業→攻撃の繰り返し。正気じゃない。