福岡拓海

パプリカの福岡拓海のレビュー・感想・評価

パプリカ(2006年製作の映画)
4.5
昔、Youtubeでみたこの映画の行進シーンの切り抜きが強烈に記憶に残っていて、いつか観たいと思っていた映画。タイミングよく地上波でやっていたのを夜更かしして視聴。
テーマは「夢」。私は夢を、現実世界での抑圧されたストレスや感情が表出されるもの、ぐらいの認識でしか捉えられていなかった。だから、鑑賞中は府に落ちない箇所が多々、、
その後いくつか解説、感想を読み漁って、この映画をなんとなく自分の中に落とせ込めた気がする。そんな映画。現代文で例えると、小説ではなく論説を鑑賞したイメージ。物語なんだけどね。
一つ一つの出来事、シーンの背景に作り手が何か伝えようとしている作品って素晴らしいと思う。さらにそれが直接的すぎず間接的に表現されているとなお。そういうものが芸術なのではないかと、芸術に詳しくない私は思う。
夢は個人的無意識にとどまらず、集合的無意識を包含するからこそ、他人と夢が混ざり合っていく。さらには現実にも浸食をしていく。近年のVRやネット社会の発展で、現実と虚構の境が分かりづらくなっている現代、ネットでの別人格を生きる現代人、自分の(潜在的な)無意識との向き合い方、などへのアンチテーゼとも考えられる本作を2006年の時点で映画化したのは2022年に初めて鑑賞した私は、今の時代を俯瞰して、まさに今の時代、更には未来に向かって必要な哲学だと思い、すごいと思った。もちろん原作小説も。原作も是非手に取って映画と違う点などに触れてみたいと思った。
一度見るだけでは足りないと思った作品!皆さんも是非、「思い知るがいい!三角定規たちの肝臓を!」