かんふーきゃっと

パプリカのかんふーきゃっとのネタバレレビュー・内容・結末

パプリカ(2006年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

○あらすじ。他人と夢を共有できる機械を巡るあれこれ。医療器具として開発中の「DCミニ」が盗まれ、悪夢により精神を冒され狂人化する研究員たち。犯人の目的とは?

○『攻殻機動隊』や『マトリックス』の電脳世界とも少し似ている。が、本作が描くのは心理学・精神医学による分析を交えた【悪夢】である。『インセプション』がクリソツ。

○夢と現実が入り乱れる場面では、ありとあらゆるものが激しくモーフィングし移り変わる。手書きのアニメーションによる情報量の多さはまさにイメージの洪水、圧巻。

○超面白い前半に対し、やや地味に感じられた後半。ミステリーとしては、ヒントの提示が丁寧過ぎた上、捻りが足りなかったからかも知れない。人間ドラマとしては、キャラクターたちの内面や関係性の説明を最小限にしたことで、感情移入がしづらかったからかも知れない。
 だが本作の本丸は、不可能と言われた原作の映像化にこそある。尺の関係から忠実な再現は無理。そこでニュアンスの抽出を行ないいろいろ再構成をしたのだろうが、映画の象徴的な場面であるパレード、あれは原作小説には全く無いらしい。すごすぎる。

○作画演出声優どれも素晴らしい。平沢進の壮大でカオスな音楽も笑っちゃうくらいマッチしていて破壊力抜群。同監督の他作品も観ようと思う。